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「鬼の花嫁」世界に迷い込む

第10章 帰ってきたと思える場所





「貴女も絵を描きますか?描くのであれば絵の具をお分けしますが」

結莉乃
「え、良いんですか!?」


「ええ」

結莉乃
「ありがとうございます!」


絵の具を分けているのを、じっと見る結莉乃の視線に凪は溜め息を吐いたもののおかしくなってしまい小さく笑を零した


結莉乃
「あ」


「今度は何です?」

結莉乃
「凪さん乗馬、得意ですか?」


「ええ、それなりには」

結莉乃
「私に教えて下さい!」


「乗せてもらうのが申し訳ないから、ですか?」

結莉乃
「あ、はは…良くお分かりで。…駄目ですか?」


「いえ、構いませんよ。貴女が良い時に声をお掛けなさい」

結莉乃
「ありがとうございます!」


教えてもらえると分かると結莉乃は、凪から分けてもらった絵の具を持って自室に戻る。それから結莉乃は、筆を出すよりも先に懐にしまった手紙を取り出す。綺麗に封を開け内容を確認して目を丸くしたが、すぐに細まる


結莉乃
「園華さんからだ」


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結莉乃さんへ
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次はいつ杠にいらっしゃいますか?
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今度はちゃんと招かせて頂きますね。
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異形に眠らされていた隊士達ですが
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とても結莉乃さんに感謝しておりました。
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これからも健やかにお過ごし下さい。
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杠領 領主 比類谷 園華
────────────


昨日帰ってきたばかりなのに、既に次を聞いてくれるのが嬉しくて結莉乃は笑みを浮かべる。


結莉乃
「やっぱり字も綺麗だなぁ…」


見た目や声、所作も美しい園華の綺麗な字を見て結莉乃は思わず呟く。後で返事を書く事にして此処に来て初めて貰った自分宛の手紙を大事にしまってから、筆を取りだし凪から貰った紙と絵の具を机に並べる

何を描こう…そう結莉乃が悩みながら開けたままの襖の向こうに見える景色へ目をやる。すると、桜の木に二羽の鳥が止まった



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