第10章 帰ってきたと思える場所
結莉乃
「ただいま戻りました!」
─バタバタバタッ
天音
「やァっと帰って来たンか、このノロマ!」
結莉乃
「酷い言われよう…」
眞秀
「素直に心配だったって言え、天音。…お帰り、結莉乃」
結莉乃
「ただいま、眞秀くん」
眞秀
「明日からまた頼むぞ?こいつら等が味噌汁があんたの味じゃないからって文句言うんだ。今まで飲んでたくせにな」
結莉乃
「ふふ…そんなに気に入ってもらえてたなんて嬉しい。また明日から頑張って作るね!」
慎太
「そうしてくれ。あんたの味噌汁を飲まないと調子が出ない」
結莉乃
「そんな大袈裟な…」
八一
「あながち間違ってないと思うよ。角の艶が無いから、慎太」
結莉乃
「え?」
右側の生え際にこめかみに向かって大中小に並ぶ角を結莉乃は思わず見るが、分からなかった
八一
「全く…君が居る生活に慣れちゃったんだから急に消えないでくれる?」
結莉乃
「ごめんね」
天音
「てめぇは臭ェ匂いぷんぷんさせてっから、あんまコイツに近付くな。臭ェのが移ンだろ」
八一
「はぁ?今日はしてないだろ。収集してから着物変えたし」
結莉乃
「まぁまぁ」
始まる二人のやり取りに結莉乃は苦笑しながら止めるも、何だか少しの時間だったのに懐かしく感じる
結莉乃
「また明日から稽古つけてね」
天音
「ア?当然だろ。アンタに稽古つけンのはオレの役目だからな」
結莉乃
「うん、お願いします」
凪
「ほら、貴方達。いつまで王を玄関に立たせておくんですか?」
凪の声に全員が、まずい…と表情を曇らせた
胤晴
「まぁ良いだろ。それだけ彼女の存在が大きいという事だ」
口角を上げる胤晴を見て全員が安堵する。と同時に以前の優しさよりも柔らかくなった様に感じていた