第9章 力を貸して下さい
結莉乃
「怪我している方達の家は分かるの?」
凛子
「もっちろん!」
結莉乃
「その人達も隊士…なの?」
凛子
「んーん、違うよ。その人達は行商人だったり観光客を守って怪我をして眠らされちゃった人達もいるの」
結莉乃
「そう…なんだ」
茉白
「隊士達ほど多くは無いから…大丈夫だよ」
その言葉に少しだけ安堵する。また途中で目眩がしてしまったら…と思ったからだ。それと同時に隊士達を結莉乃は尊敬した。町への被害は最小に自分達の身を呈して守ったのだと思ったから…だから余計に彼女達には目を覚まして欲しかった
二人に案内されて町の人達を順番に治して行くと、茉白の言う通り六人で治し終える事が出来た。皆、初めて見る力に驚いていたが怪我が治ると結莉乃に酷く感謝した
凛子
「あ、そういえば園華さんに頼まれてた事があったんだった!…二人で戻れる?」
茉白
「はい、大丈夫です」
凛子
「分かった!…それなら二人共、また後で」
尻尾を揺らしながら走り去って行く凛子を二人は見送った。そして、茉白は凛子から手綱を受け取り此処に来た時と同じ様に結莉乃が乗る馬を引きながら屋敷へ戻っていく
茉白に部屋まで送ってもらうと結莉乃は座布団へと腰を下ろした。少しだけ疲れたものの昨日よりは疲れていない身体に安堵の息が零れた
結莉乃
(でも、原因になってる異形は見付かってないんだよね…)
傷は無くなったものの根本的な解決にはなっていないそれに結莉乃の心は重くなる。恐らく異形を倒せば皆が目を覚ます、そう結莉乃は思っているが肝心の異形が居ないため行き詰まりを感じてしまう