第9章 力を貸して下さい
眞秀
「無事で良かったな…」
慎太
「嗚呼」
天音
「ッたく…心配かけやがって。しかも、領の奴等を治すだァ?」
八一
「天音ってば心配なんて優しい」
天音
「るせェ!」
八一
「ま、でも結莉乃ちゃんらしいと言えばらしいよね」
眞秀
「だな」
結莉乃の無事を知った全員の表情からは安堵が覗き言葉が滑らかに溢れ出た。彼女のやりたい事を尊重しつつも探す事にした
─同じ頃 杠領にて…
結莉乃
「……ん…」
普段以上に熟睡した様に感じながら結莉乃は瞼を持ち上げ視線を揺らす
結莉乃
「あ…そうだ…杠領に来たんだった…」
眠い目を擦り欠伸を小さく零しながら結莉乃は上体を起こす。園華達が暮らしている屋敷は華屋敷というらしく、その名前にぴったりだと覚醒していく頭で結莉乃は考える
「結莉乃さん、おはようございます。…朝餉の準備が出来たのですが、お目覚めでしょうか?」
襖の向こうで茉白とは違う声がして結莉乃は慌てて布団から出る
結莉乃
「ち、ちょっと待って下さい…っ」
楓奈
「失礼します。慌てなくて大丈夫です。…本日から貴女のお世話係を務めます、楓奈(フウナ)と申します。宜しくお願い致します」
開かれた襖の向こうでは、頭部に兎耳がある女性が綺麗にお辞儀をしていて結莉乃も慌てて頭を下げる。
それから楓奈に着替えを手伝ってもらうと、壬生で与えられている着物よりも鮮やかで綺麗な色と柄に結莉乃の心は弾んだ。楓奈の案内のお陰で広間に迷わず到着出来た
園華
「おはようございます。…やはり、その着物お似合いでしたね」
結莉乃
「おはようございます…って、これ園華さんが選んでくださったんですか?」
園華
「ええ。気に入ってくださいましたか?」
結莉乃
「はい!凄く綺麗です」
園華
「良かった」
綺麗に笑む園華に言葉を返していると、結莉乃の背中に何かがぶつかる