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「鬼の花嫁」世界に迷い込む

第9章 力を貸して下さい




結莉乃
「私のこの力を必要としてくれたからです。連れてこられて怖い思いをしていたら別ですけど…でも、貴女達は強制的に従わせるのではなく事情を説明して下さった上で必要としてくれました。それに、誰かを助けたいって思う気持ちは誰にでもあると思うんです…私も彼女達を助けたいって思ったので」

茉白
「貴女はお強いんですね」

結莉乃
「へ?いや、そんな事は全然」


どちらかと言えば弱い方だと思いながら結莉乃は首を横に振った。結莉乃の纏う裏や邪の思いがない空気に気持ちが緩んだのか茉白は息を吐き出して、ぽつりと呟く


茉白
「…先程、園華様が仰っていましたが…私は彼女達を率いる部隊長なのです。私は…園華様やこの町の民達を守る為に居ます」


結莉乃は話されるそれに、しっかりと耳を傾ける


茉白
「園華様は私の事を強いと言って下さいます。でも、私は期待される程、強くないんです。危機になったら園華様の方が強いんです。だから…有事の時にちゃんと守れるのか不安で…」


もしかして彼女はこの思いを誰かに話した事は無いのだろうか?僅かに乱れる呼吸と小さく震える手を見て、結莉乃は初めて内側を吐き出す事に恐れているようにも見えた。

安心させられるかは分からないが、少しでも怖さを軽減出来ればと膝の上で握られる手の甲に結莉乃は自分の手を重ねる。その行為に茉白は一瞬だけ驚き耳まで力が入るがすぐに身体の力を抜く


結莉乃
「期待されるのって怖かったりしますよね。された方は重荷になってしまう事もありますし。でも私は期待される方が良いと思います」

茉白
「どうしてですか…?」

結莉乃
「期待されたらその分、頑張ろって思えるし…何より必要とされているみたいじゃないですか?」

茉白
「必要と…」


その言葉に茉白はある事を思い出す。此処に来る前は一人で戦っていた。でも、偶然ボロボロになった茉白を見付けた園華に救われた


園華
『私はこの町の民を守る為にあんさんの力が必要です。此処で私達と過ごしまへんか?』

茉白
(必要と…されてるから期待される)


どこか、すっと真水のように入り込んできた言葉に茉白は口角を上げる



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