第9章 力を貸して下さい
結莉乃
(でも、怪我してる人はまだ居る…頑張ろ…!)
気合いを入れ直していると、外から声が掛かる
茉白
「結莉乃さん、便箋をお持ちしました」
結莉乃
「はいっ」
それに結莉乃が返事をすると、失礼しますと告げて茉白が部屋へ入ってくる。
机の上に置かれた便箋には色とりどりの花が四隅に描かれていて可愛らしいもので、結莉乃の表情は自然と緩む
結莉乃
「ありがとうございます、茉白さん」
茉白
「いえ」
結莉乃
(字を書くってなった時に硯使って墨を磨るのも当たり前になったなぁ…)
茉白
「…あの、結莉乃さん」
結莉乃
「はい?」
便箋と共に置かれた硯で早速、墨を作り始めながら此処に来て当たり前になった行動を考えていた結莉乃は控えめに呼ばれた茉白の声に手を止めて首を傾げた。
茉白
「私の仲間を助けて下さり、ありがとうございます」
畳に手を付き綺麗にお辞儀をする茉白を見ると結莉乃は慌てた様に両手を振った
結莉乃
「そんなっ…私は何も。寧ろ眠りから覚ます事が出来なくてすみません」
茉白
「それについて謝る必要などございません。貴女が居なければ彼女達は眠ったまま亡くなる所でした…ですが、貴女のお陰で彼女達の命が失くなる事は避けられました。本当に感謝しております」
結莉乃
「それなら…良かったです。また明日も皆さんの力になれるよう頑張りますね」
柔らかく笑む結莉乃を見て、茉白の心には疑問が浮かんだ
茉白
「あの…貴女は無理矢理、連れてこられたのに…どうして私達を助けようと、力になろうと思えるのですか?」
問い掛けようか悩む前に勝手に茉白の唇から疑問が零れ落ちいた。その問いに結莉乃は一瞬、悩んだ様な表情を見せたがすぐに笑みを浮かべた