第9章 力を貸して下さい
結莉乃
「ありがとうございます」
茉白
「…いえ」
園華
「力を使って目眩を起こした事は今までにもありましたか?」
結莉乃
「いえ、今回が初めてです」
園華
「そうですか…もしかしたら人数が関係しているのかもしれませんね」
結莉乃
「人数…ですか?」
園華
「ええ。今回と同じ人数を治した事はおありで?」
結莉乃
「無いです。あっても数人でした」
園華
「恐らくあんさんの体力を削って怪我や病気を治癒しているんでしょうね。だから、力の乱用はあんさんの健康状態を悪くするんかもしれません」
園華の説明を聞きながら結莉乃は感心する。少しの間でそこまで予想できるんだと、そしてその予想はあっているような気がして納得が出来た。
襖の前で止まると園華が結莉乃へ振り向く
園華
「此処があんさんの部屋です。本日はありがとうございました。明日も宜しくお願い致します」
結莉乃
「はい、こちらこそ。…あ、えと…壬生の皆さんにお手紙を書きたいんですけど…良いですか?」
その言葉に少し園華は悩んだ素振りを見せたが、頷いてくれた
園華
「ええ。此方としても胤晴さんの怒りを買いたいわけやないし、無事を伝えて下さい。後で茉白に便箋を届けさせます」
結莉乃
「ありがとうございます…!」
領主同士やはり繋がりがあるのかと納得した。と同時に手紙を届けてもらえる事に安心した
園華
「それでは、ごゆるりとお休み下さい」
綺麗に園華と茉白がお辞儀をして去って行くのを見てから、案内された部屋に結莉乃は入った。室内は華やかであるのに色味は落ち着いていて、心が休まる様な空間で結莉乃は思わず息を吐き出す。
ずっと重くて立っているだけでも辛かった身体を休めるために座布団へ腰を下ろす
結莉乃
(ずっとお米を乗せられてる気分…)
机に突っ伏せるとゆっくりと呼吸をする。目眩を起こす前から少しずつ身体は重くなっていた。十キロの米を背中に乗せられているような重みが結莉乃の身体へのしかかっていたのだ