第9章 力を貸して下さい
結莉乃
「他の方達も治していきます!」
園華
「お願いします」
それから結莉乃はその部屋に居る残りの九人を順番に治して行った。他の部屋に居る十人を治し終えた所で結莉乃に異変が起きた
結莉乃
「……っ…」
茉白
「大丈夫ですか?」
結莉乃
「あ、すみません…大丈夫です」
結莉乃が次の部屋に案内してもらおうと振り向いた瞬間、ふらりと結莉乃の身体が崩れ落ちそうになる。が、茉白が支えた事により崩れずに済んだ。
園華
「結莉乃さん、今日は休みましょう」
結莉乃
「え?でも…まだ他の方が…」
園華
「無理は良くありまへん。…今のは目眩を起こした証拠です。あんさんが彼女達の為に頑張ってくれてるんは分かります。頼った私が言うのもおかしいですが…あんさんが倒れてしまっては元も子もありません」
結莉乃は少しでも園華達の苦労を減らしたくて頑張ったが、治癒力も無限ではないのだと理解しつつも早く治したいのに…と、気が急いてしまう
園華
「お部屋を用意しました。続きはまた明日にしましょう」
結莉乃
「すみません、私…」
園華
「焦ってはいけません。…幾つかお聞きしたいのでお部屋まで私が案内します」
結莉乃
「あ、ありがとうございます」
領主直々に案内してもらって良いのだろうか、なんて思いつつも素直にその申し出に結莉乃はお礼を述べた。園華の後ろについて行く結莉乃の後ろを茉白が歩く。
部屋に案内してもらっている最中に園華が軽く結莉乃へ顔を向けて言葉を掛ける
園華
「結莉乃さんのお陰で命が失くなる危険性は無くなりました…本当にありがとうございます」
結莉乃
「いえ、お役に立てたようで良かったです」
少しだけふらつきながらも結莉乃は園華へ言葉を返す。その様子に後ろに居た茉白が小さく声を掛け、結莉乃を優しく支える