第8章 賑やかな祭りではご用心を
口の中でその甘さが消えると結莉乃は天音に抗議をする
結莉乃
「いきなり口に入れるなんて危ないじゃん!」
天音
「ハッ。ぼーっとしてンのが悪い」
結莉乃
「してないよ!慎太くんと話してたし」
天音
「うるせェ」
女性
「はいよ、お待たせ!」
二人のやり取りを止めるように女性の元気な声が響いた。結莉乃がお礼を述べて受け取る
結莉乃
「美味しそう」
眞秀
「あそこに座って食うか?」
結莉乃
「あ、うん。…皆は好きな所、見てきても大丈夫ですよ」
結莉乃がそう述べると少しだけぶらつくと胤晴と凪以外が人並みへと消えていった
結莉乃
「お二人は行かなくて良かったんですか?」
胤晴
「嗚呼」
凪
「王の傍に居るのが務めですから」
胤晴
「行ってきても構わないのだぞ」
凪
「いえ、私は此処に」
胤晴
「そうか」
階段に座ると結莉乃はかき氷を頬張る
結莉乃
「美味しい…!」
胤晴
「結莉乃は食べ物を美味そうに食うな」
結莉乃
「だって美味しいですから」
胤晴
「そうか、良かった」
結莉乃
「胤晴さん楽しいですか?」
胤晴
「…?」
結莉乃
「久し振りだって言っていたので…楽しいかなって。私だけ楽しんでしまっていたら申し訳ないので」
胤晴
「ちゃんと楽しんでいる」
結莉乃
「良かった」
結莉乃が安堵した様に笑むと、傍に居た凪も安心したように口角を上げていた。それから少しして結莉乃がかき氷を食べ終わる前に皆帰って来た。それも結莉乃への土産を抱えて
その光景に結莉乃の心は暖かくなった。彼等の心に少しでも自分が居るんだと、仲間として認められているんだと…嬉しかった
再び全員で歩き出すが、すぐに八一が声を上げる