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「鬼の花嫁」世界に迷い込む

第8章 賑やかな祭りではご用心を




ぱっと顔を上げて景品台に目をやると新たにしゃぼん玉が追加されていた


結莉乃
「しゃぼん玉…」

胤晴
「待っていろ」

結莉乃
「え?」


短く告げた胤晴は結莉乃が見ていたしゃぼん玉に狙いを決め、放った弾がしゃぼん玉を落とす。そして、受け取ったしゃぼん玉を胤晴は結莉乃へ渡す


結莉乃
「ありがとうございます」


しゃぼん玉なんて子供以来やっていない結莉乃は懐かしくて嬉しくなってしまった。胤晴はそんな彼女を見て僅かに口角を上げた


結莉乃
「射的で全員が景品を取れるなんて凄いですね!私初めて見ました」

天音
「ンなもの当然だわ」

八一
「確かに。そんなに難しいものでは無いかも」


鬼って凄い…と結莉乃は思った。
鬼だからという訳では無いと思うが、結莉乃は射的で物が当たるのをあまり見た事がないので感動してしまったのだ

既に一行は別の屋台へ脚を向けており、そこはかき氷屋だった。結莉乃は懐からかき氷券を取り出し店主の女性に渡す


女性
「お!射的で当てたのかい、凄いね!…味何にする?」

結莉乃
「宇治金時って良いんですか?小豆乗ってますけど…」


無料でシロップ以外が乗っているものを頼んで良いのか不安になった結莉乃は窺うように女性を見る


女性
「ははっ!気にしなくて良いよ。射的のかき氷券は中々出ないんだ。宇治金時にしな」

結莉乃
「ありがとうございます!」

慎太
「良かったな」

結莉乃
「うん。慎太くんのお陰だね」

慎太
「あんたの喜ぶ顔が見られて良かった」

結莉乃
「……っ…」

天音
「オイ」

結莉乃
「え?……むぐっ」


慎太が掛ける言葉が気に入らなかったのか天音は不機嫌そうに結莉乃へ声を掛けた。彼女が振り向くと結莉乃の咥内に綿菓子が突っ込まれた



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