第1章 鍛刀力がありすぎる審神者
こんのすけを連れ立って鍛刀部屋に入り、準備を始める。
木炭、玉鋼、冷却材、砥石、それから依頼札。
レシピはマニュアルどおりに、忠実に。
霊力の消費に負担がないよう、目指すは短刀だ。
目の前にそろえた素材を、再度確認する。
よし、配合に間違いはない。
「始めるよ!」
私は研修を思い出しながら、霊力をこめ始めた。
初めてのことだ。
研修は受けたが、実際にやるとなると妙に緊張する。
しかしやり始めてみると、少しばかり拍子抜けした。
思っていたより簡単だったのだ。
霊力は素材にすん、となじみ、身体の状態もいたって絶好調。
研修では、人によって痺れや痛み、激しい肉体的疲労を伴うこともあると言われていたが、今のところなんの症状もない。
緊張が少しほぐれ、思考する余裕も出てきた――
力こそ、パワーである。
私の初鍛刀男士というなら、打撃高めの男士がいい。
歴史修正主義者も検非違使もワンパンで屠ってしまえるような。
もちろん、敵を翻弄する機動力や、戦線を切り開き戦況を左右する偵察力、小さな神を率いて敵に白刃戦さえ始めさせない統率力などなど、ほかにもたくさん重要な能力がある。
だからこれは好みの話だ。
ゲームで「レベルをあげて物理で殴る」とか「攻撃力極振り」が好きな私は、例によって仕事においても似たような好みを持っている。
といっても、打撃高めの短刀って誰だったっけか。
なんにせよ、誰であろうと初鍛刀男士として最大限の愛と尊敬で仕えることに変わりはない――