第4章 短刀推しがすぎる一期一振 ㏌ 短刀しかいない本丸①
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「動画、ですか」
「うん。みんながかわいすぎて私よくカメラを回すんだけど、一期にも見せてみたくてね。もしよかったら、なんだけど……」
近侍の仕事を見学(?)したいという一期の希望により、彼の審神者部屋の滞在時間が長くなったある日。
3時のおやつのまったりタイムに、私はそんな提案をしてみた。
肝心の近侍である信濃くんは、一期の膝でくうくうおやすみ中である。
かわいい。しなのんがかわいいとは言え、内心、かなり恐る恐るだった。
一期がいた本丸には、なんと短刀がいなかったらしいのだ。
レア度の高い太刀や大太刀ばかりだったという。
親切の押し売りどころか、よく考えたらなんらかのトラウマを刺激してしまうのではーー!?
そんなふうに、提案したことを悔やみ始めたところ、
「……見てみたいです」
と、一期は柔らかく微笑んでくれた。
「本当に気を遣わないでね!?」
「いえ、本当に見てみたいのですよ」
「そ、そう?」
ならば話は早い。
私は早速ディスプレイを操作し、上映の準備を始めた。
動画ファイルを開き、フルスクリーンモードにする。
本当はプロジェクターで上映したかったが、最初からそんなにガチでいくと引かれるかもしれない。
今回は手元の端末で簡易再生である。
ローディングが終わり、画面が切り替わった。
映し出されたのは、ここ審神者部屋だ。
画面の中央には、畳の上に行儀よく正座する前田が映っている。
ピントがばっちりあったまま、前田が一礼した。
「前田藤四郎です。修行から帰還し、しばらく経ちました」