第3章 ネガティブすぎる審神者
「はいプログラム実行しましたよ! 主様ならできます!」
「そ、そんな、私なんかには無理ですーー」
「シミュレーション何十回やったと思ってるんですか!? 主様の実力なら確実にできます! ていうかこれ手入れまでのチュートリアルですから!!」
どこからか必死の(半ギレともいう)こんのすけと、青い顔をしていることが容易に想像できる審神者の声が聞こえてきた。
話の内容からすると、練習のようなものが始まるらしい。
などと考えている内に、空気が変わる。
再び何もない空間が歪んだかと思うと、歪みの中央から敵が現れた。
短刀が二振り。
こちらは丸腰でさっき顕現されたばかりだ。
数として歩が悪いばかりか、おそらく相手の方が、強い。
気がかりなのはそれだけではなかった。審神者は自らを卑下し、やたらと俺を自分の上に置いている。
その態度は、崇める対象の神に接するがごときだ。
買い被りすぎなのである。いざ戦う姿を見たら幻滅するのでは?
写しの強さはこの程度だったか、と高い期待値を裏切ってしまうんじゃないか?
長い時間を費やして、考え抜いて選んでもらったのに、応えられなかったらーー。
そんな憂いも知らず、敵は牙を剥いてくる。
写しの考え事など誰も待ちはしない。考えるのは後ということか。
「ーー参る」