第3章 ネガティブすぎる審神者
確かに、審神者の霊力は豊かとは言えなかったが、清浄さに満ち、澱みなく澄んでいた。
そんなふうに卑下するものではないと思った。
「いや、そんなことはないがーー」
「私のような審神者のもとにお呼びしてしまったことをどうかお許しください……流れる霊力が不快でしょうし、未熟者も未熟者の私では十分にお仕えすることなど叶わないことは重々承知しております」
「そんなことは言っていなーー」
「ですが一所懸命、粉骨砕身努力いたしますので何卒、何卒……っ」
「いやだからーー」
こちらの声が全く耳に入っていないのか、審神者はまくし立て続けた。
時折顔を少しあげ、大泣き状態の目で訴えつつ、土下座の姿勢に戻る、を繰り返している。
なんだこの状況は。大丈夫なのかこの審神者は。
助けを求めてこんのすけを見ると、「あ~」みたいな表情をしていた。
恐れていた通りになってしまった、という顔だった。
おい。わかっていたのなら対策をしろ。
こんのすけはとてとてと審神者に歩みより、鼻でその頭をつんつんした。
審神者が「うぅ……」と泣きながらこんのすけの方に顔を上げる。
泣きべそをかく顔は、主の威厳もなにもなく、ちょっとマヌケですらあった。
それでいて、放っておけないような気にさせる何かが、そこにあった。
「しっかりしてください主様!」
「すみません、だ、だめですよねやっぱり……どうせ私なんか……」
「そんなことないですから! 山姥切国広様が困っておられるではないですか!」
「…………やはり審神者としての力を上げてから本丸を持つべきということですよね、い、いったん現世に戻ーー」
「いやいやいやいや」
「待て待て待て」