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××すぎる審神者シリーズ【刀剣乱舞】

第3章 ネガティブすぎる審神者





「山姥切国広だ……何だその目は。写しだというのが気になると?」



そいつは目を見開いて、口はポカンと半開きになっていた。

魂が抜けかけた顔で、俺に視線がくぎ付けになっている。

どうやら目の前の人物が、俺を初期刀に選んだ審神者らしい。

わざわざ初期刀に俺のような写しを選ぶなど、趣味が悪い。

道理でと言うべきか、審神者の顔色はあまりよくなかった。

期待を抱いて俺を選んだはいいが、いざ顕現してみると想像と違ったのだろうか。

そういう場合、予想を下回るというパターンが大多数である。

思ってたのと違う、というやつだ。

写しの霊力と相対して嫌になったのか、実物を見たら期待外れにみすぼらしく見えたのか。

どうなのかはわからないが、いずれにせよ喜びという感情から遠いものなのだろう。



「うっ……!」



そいつが突然、泣き出した。

両手で顔を覆い、ぷるぷると肩を震わせている。

脈絡のないリアクションに面食らう。

もしや、泣くほど嫌なのか。

やっぱり選び直していいか、などとこんのすけと目の前でやりとりでもされたら、本当に惨めな気持ちになる。

なら最初から選ばないで欲しかった。

何もない、あの薄らあたたかく暗い世界で眠っている方がよっぽどいいじゃないか。

審神者はなおもぷるぷるして、嗚咽をこらえていた。

せめてなにか言え。

「……おい」

「申し訳ありませんっっ!」

「っ!?」

すごい勢いだった。

すごい勢いで、審神者が土下座をしてきた。

動きが速すぎて、思わずビクッとしてしまったほどだ。

俺は、今……謝られている?

わけがわからず首をひねる。

審神者はぷるぷる震えたままだった。

綺麗すぎるお手本のような土下座に、困惑しながら尋ねてみる。

「……なぜ謝る」

「もっ申し訳ありません! 私めのような霊力の薄く卑しい人間が山姥切国広様のような尊いお方に仕えるなど……仕えるなど……ああぁっ!!」

早口でまくし立ててから奇声を発した審神者は、頭を抱えて左右にブンブン振りだした。

なお土下座をしたままである。意味がわからない。
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