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目眩く一時 ~刹那の情事~

第8章 記憶を取り戻した彼が望むのは ~曼珠沙華~





屋敷に着き玄関の施錠をすると意外にもみずきから、無一郎に抱きつき口付ける

何度も交わしたそれは上達していて、無一郎の口内をねっとり舐め上げる

「…ん…んっ…」

僅かに息が上がる無一郎に興奮し、上顎を舌先でなぞり舌を絡めとる

無一郎はされるがままは癪なようで後頭部に両手を這わし、みずきを上に向かせ少し強引に唇を離すと

潤んだ瞳で上目遣いするみずきの表情に

「…どうしたの?そんなに寂しかった?」

いとおしそうに頬を撫でると

『…無一郎が上弦の鬼と戦って意識がないって、聞いた時に……お兄ちゃんが殺された時を…思い出しちゃって…またあのとてつもない絶望を…味わうのかと、頭が真っ白になったのっ』

ボロボロと泣くみずき

やっぱり、そうか…

思い出させちゃったんだね、1番辛い記憶を

『無一郎はお兄ちゃんじゃない。でも、今の私の唯一無二の大事な人だから…これ以上…奪わないでほしいって…強く思った』

「…僕はその辛さ、1番分かるからね。だから、ちゃんと戻ってきたよ」

『うん、うんっ…ありがとう、無一郎…愛してる』

「…俺の方が、愛してるから」

初めて一人称が俺になり、愛してると言った無一郎の表情は

大人の男のそれで、劣情と愛情の間で色気を醸し出す

「何せ記憶無い間もずっとみずきだけだったからね、愛の深さが違うよ」

得意気な無一郎に

『…想いの強さは負けないもん』

ぷくっと頬を膨らませ怒るみずき

「…じゃあ、今すぐ試してみる?僕がどれだけみずきを愛してるか…」

艶めかしい視線で挑発するように見詰める無一郎に

『まずはお風呂でお互い、綺麗になってからにしよ?』

「………もう、十分過ぎるぐらい待ったのにまだお預けするの?」

無一郎が獣の瞳に変わる

『…一緒に入るから、お願い?』

「ふーん、良い度胸だね。無事に出られないと思うけど…いいの?」

『…休憩、たーくさんして無理はしないんでしょ?』

無一郎が暴走しないようにやんわり抑えるが

「別にみずきを気持ち良くするだけだから…僕は無理しないよ?」

ニコニコしながらさらっと言われ

身の危険を感じるも手を引かれ、湯へ連れていかれた


うぅ、色々勝てる気がしない…

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