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目眩く一時 ~刹那の情事~

第8章 記憶を取り戻した彼が望むのは ~曼珠沙華~




起きたら、今度は横に温もりを感じて

穏やかな気持ちで目覚めた

「…おはよう、みずき」

『…ん、おはよう、無一郎』

当然のように口付けると

『…また胡蝶さんに怒られますよ?』

「…昨日、みずきが横にいなくて寂しかったからつい…」

『仕方ないな、もう…』

言いながら起き上がると

『…診察、お願いしてきます』

「うん、よろしく」

みずきが出ていき、しばらくすると

「失礼しますね、調子はどうですか?」

「熱も下がり、だいぶ良くなってきたと思います」

それから、問診と軽い診察をすると

「…安定していますし、大丈夫そうですね。明日には屋敷に戻って大丈夫ですよ」

「分かりました、ありがとうございます」

「あぁ、屋敷に戻ったからとあまりご無理をなさるとまたここに来て頂く事になりますからしっかり療養して下さいね~?」

またも釘を刺され、うっという顔をする無一郎に

「まぁ、難しそうですかね~?みずきさん、非番をもらったようですし?」

「…治療に専念するよう、善処します」

「はい、そうして下さい。…刀鍛冶の里襲撃以来、驚くほど鬼の襲撃が減り、今はありません。まるで嵐の前の静けさです、用心しなければいけません」

「分かりました」

「では、みずきさんに時透君の容態を説明してきますね」

少し待っていて下さいと、しのぶはその場を後にした

そのまま、寝ていたらみずきが戻ってきて

『無一郎、大丈夫?』

優しい笑顔で聞いてくるから

「…可愛い」

聞かれた事と違う事を口走る

『…無一郎、大丈夫か聞いたのっ』

少し頬を膨らませ怒るみずきに

「…ごめん、大丈夫だよ。みずきこそあまり寝てないでしょ。大丈夫なの?」

『非番頂いたので大丈夫です』

「僕、明日には屋敷に戻れるから今日はもう帰っていいよ」

『ギリギリまで一緒にいなくていいの?』

「……今日、帰ってゆっくり寝といた方がいいと思うよ?」

艶のある笑顔をする無一郎

『………無理しないように、胡蝶さんに言われたでしょ?』

「無理はしないよ?休憩はたーくさんとるから問題ないよ」

何が問題ないのか、教えてほしい…


「だから、今日は帰って寝て?ついでに…色々準備しておいてくれると、嬉しいな~」


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