第7章 無口な彼の譲れぬ主張 ~深い愛に溺れて~
『炎柱様っ!』
「む、その声は神凪だな!今日はよろしく頼むっ」
『はい』
早駆けしながら話す
「何度も同行を頼んでいたはずだが…なかなか色好い返事をもらえなくて困っていた。そろそろ、強行手段に出ようと思っていたから引き受けてもらえて何よりだっ!」
はっはっはっと豪快に怖い事を言われ、今回引き受けて良かったと心から思った
『…単独任務もありましたのでなかなか同行出来ず申し訳ありませんでした』
「…ふむ、君は嘘をつくのが下手だな」
僅かに身体がピクリと反応する
「俺が君の任務内容を知らずに指名していたと思っているようにあるが…全て把握している」
『…申し訳、ありません』
「それは何に対する謝罪だ?嘘をついた事か?それとも来れる任務に同行しなかった事か?」
押し黙ってしまうみずきに
「…まぁ、いい。今回、ちゃんと同行したからな!不問にしてもいい」
煉獄の熱い視線が刺さる
「それに君が俺を避ける理由も分かっているつもりだが?」
また僅かに身体が反応する
「俺が以前、君を嫁にしたいと言ったからだと思っているが…違うか?」
『…戸惑っているのは、間違いありません』
「戸惑う、か。…迷惑では、ないのだな」
うむっ!と言うと
「君は冨岡と恋仲になったようだが、俺は諦めるつもりは毛頭ない!冨岡に愛想が尽きたら俺の所に来るといいっ!全力で愛してやろう!」
またはっはっはっと豪快に笑う
ますます困るみずき
『…あの、私は義勇さんが好きなので炎柱様の気持ちには…』
「俺は、答えを急いでない。そう言わずにゆっくり考えるといい」
煉獄の粘り強さに、これ以上話しても明確に答えを出させて貰えないと思い
『……分かりました』
と答えるしかないみずきだった
ーーー
目的地の山で何体かいた鬼を煉獄と協力して斬っていると最後の鬼の頸を斬った時に血鬼術が発動し
みずきを庇い、煉獄が食らってしまった
『…!炎柱様ぁっ!』
「…大丈夫だ、問題ないっ!」
言いながらも膝をつく煉獄に
すみませんと言いながら
手早く血鬼止めをぬる
その姿をじっと眺めていた煉獄は
「君は、可愛いな」
ますます惚れそうだと、口走る
『…こんな時に止めて下さい』
プイッとするみずき