第1章 無口が放つ最高の殺し文句
そこで冨岡の顔を見て
僅かに呼吸を整え
『よろしくお願いします、…冨岡さん』
すると
「…みずき、義勇だ」
と呼び方が変わり、自分も名前で呼ぶように言われ
『……義勇、さん』
消え入りそうな声で紡ぐと
性急に唇を求められた
『…!…ん、んっ』
「はぁ…みずき…」
少し荒い息をしながら、夢中で求められ
たまらず息を吸おうと口を開けば
『…はぁ、あっ…んんっ!んー…』
舌がぬるりと差し込まれ、口内をねっとりと犯された
しばらくされるがままになっていたが限界を迎え
その場にしゃがみこむと
「…すまない、少し気が急いた」
と言いながらもちゃっかり抱き上げられ
そのまま屋敷の奥に進む
『え、ま、待って下さい…少し急すぎませんか?そ、それにさっきは何もしないと、』
言ったじゃないですかと言おうとしたら
「あれはまだ、恋仲ではなかったからだ。…だが、今は違う」
深海のような瞳に見つめられ、思わず息をのむ
「嫌なら無理に最後まではしないが…今日は、帰さない」
はっきり言い切られ、覚悟を決めて静かに頷くしかなかった
少し考えるような素振りをした後
「…湯を、使いたいか?」
あ、これは断ったらダメなやつだ
断ったら、多分、寝室に直行な雰囲気だ
『つ、使います!任務明けで汚れてますし』
「そうか、では俺も入る」
『え、え?別々に入らないんですか?』
「……嫌なのか?俺はもう、片時も離れたくない。」
そう言いながら、首筋に唇を寄せ
甘えるような視線を送られる
…その顔は、ずるい!
『~…、分かりました。一緒に入りますから!』
それを聞いた義勇は顔が明るくなり、早足で風呂場に向かう
脱衣場に着くや否や手早く、一糸纏わぬ姿にされ
恥ずかしさに体を隠すようにしていると
手首を優しく掴まれ
「隠すな、見たい」
と組んでいた腕をほどかれ、誰にも晒した事のない体を見られる
明かりで浮き上がる柔らかな肢体は艶めかしく
義勇は息をのんだ
「…綺麗だ。」
『嘘、傷だらけなのに…』
「隊士をしてるなら当たり前だ。恥ずかしがる事はない。」
不意に胸の下にある少し目立つ傷にそっと指を這わされ
『…あっ…ん』
思わず声を上げた