第6章 吸血鬼に甘く奪われて…(炭治郎の場合)
あ、みずきさん、まだ温泉から戻ってないのか
あれから、あまりに急すぎたと
冷静になろうと結構、長湯して念入りに血鬼止めをぬったりしてたから戻ってるかと思ったけど
水でも飲んで待っていよう
机に置いてあった湯呑みをとり、水差しから水を入れ飲んでいると
ふいに襖が開く
炭治郎が水を飲みながら振り向くと
『…お待たせ』
無化粧で香を纏わないその無防備で純粋な姿に
思わず飲んでいた水を溢す炭治郎
『あ、水が…!炭治郎君、大丈夫?』
と心配そうに覗き込んでくるみずきに
「…可愛い」
みずきに聞こえないほど小さな声で呟き、水を溢した事などどうでもいいと食い入るように見詰められ
『…やっぱり、童顔だよね…』
変?と小首を傾げるみずきに
「…すごく、可愛いです。今は匂いも分かるし、何て言うか…無防備で危ういです」
俺の理性がと、心で呟く
『……どんな匂いがする?』
少し色っぽい視線を投げながら問う
「…俺の事、たくさん考えてくれてる匂い。心配する匂い。それから…とても甘い匂いがします。俺の事…好きって匂い」
違いますか?とイタズラっぽい顔をされ
『…うぅん、違わない。炭治郎君には最初から私の気持ち、隠せなかったもんね』
照れた表情をして
『…私、炭治郎君が好き。会ったばかりなのに凄く気になって、運命って言われてしっくりきちゃうくらい……好き』
みずきが好きと言葉にする度にぶわっと甘い匂いがして炭治郎の理性を奪う
「…みずきさん、俺と恋仲になって下さい」
『はい、よろしく…お願いします』
頬を染めながら俯き小さく答えると
炭治郎の顔が目の前にきて、指で唇に触れられ熱い視線を注がれる
返事の代わりに目を瞑ると
炭治郎の唇がみずきのそれに触れる
すると只でさえ、湯上がりで良い匂いのみずきからさらに濃くて甘い匂いが漏れだす
唇からも鼻にかかる色っぽい声が漏れ、炭治郎は一気に昂ってしまう
少し開いた唇に舌を差し込んで開かせ、甘い吐息ごと貪るように深い口吸いを施す
『…んっ…ふぅ…ん…っ…』
口内まで甘味を感じ、炭治郎は軽い目眩を覚えた
しばらく味わうようにされた後、くたっと上気した表情のみずきに
「…もう、おかしくなりそうだ…吸いたい」