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目眩く一時 ~刹那の情事~

第6章 吸血鬼に甘く奪われて…(炭治郎の場合)




「…みずきさん、落ち着いて聞いてもらえますか?」

真剣な顔の炭治郎に何となく、緊張感が走るみずき

『…どうしたの?炭治郎君』

すると炭治郎は徐に口をあーと開け、牙を見せる

『……!飢えてるの?!ごめんね、そんなに酷かったなんて!』

隠が来るまで保たないよね?と、慌てるみずきに

「みずきさん、落ち着いて。俺はそこまで重傷じゃありません」

そう言いながらもギラリと光る赤い瞳で見詰めてくる炭治郎を

みずきは冷静に観察する

確かに飢えてたら、もう私に襲いかかってもおかしくないのに…ギラつきながらもどこか冷静な炭治郎を見て戸惑う

『…こんな症状、見た事ない。血鬼術か何かかな?』

「違いますよ。……どうしてこうなってるか、知りたいですか?」

炭治郎がみずきの手を優しく握る

みずきはドキリとしながらも、赤い瞳に身構える

「みずきさんは俺の運命の相手だ。最初に見た時から気になってたんです、何というか…目が離せないというか」

顔を赤らめながら言う炭治郎に釣られてみずきも頬を朱に染める

『…炭、治郎君』

「…急にこんな事、言われても戸惑いますよね?すみません、出来れば距離をとって下さい」

血を吸いたくなるのでと言いながら、手を離す

少し間が空き

みずきは鴉を呼び、手短に何かを指示すると鎹鴉が何故か炭治郎を睨みながら飛んでいった

負傷した所に手早く血鬼止めをぬるみずきを炭治郎は黙って見ている

みずきの香が邪魔をして何を考えてるか分からないのが口惜しい

処置が終わると

『…炭治郎君、私が何を考えてるかそんなに知りたい?』

さっきから鼻スンスンしてるよ、と指摘される

「…知りたいです」

『…すぐに知りたい?』

そうすると近くの川に入らなきゃな、とみずきが言うので炭治郎は慌てる

まだそこまで寒くはないが冷たい川に入るのは良くない

「か、帰ってからで大丈夫ですよ!」

『…炭治郎君、どこに帰るの?私は蝶屋敷なんだけど』

はっとする炭治郎

湯浴み出来たとしても蝶屋敷では色々、不都合がある気がした

かと言って、近くの藤の花の家もなと悩む


炭治郎は意を決して

「…みずきさんが嫌じゃなければ、旅籠に行きましょう」


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