第6章 吸血鬼に甘く奪われて…(炭治郎の場合)
みずきはそれを予想して呼吸を使い、鬼の攻撃を躱すと頸に斬りかかる
鬼は頸に刀を掠めながらも既の所で避けて後ろに大きく後退する
「…予想より強いな。やっかいな女だ」
まずは、邪魔なガキから始末するかと鬼が呟き、血鬼術を使うと炭治郎の背後に血の苦無のような物が無数に現れ一気に襲いかかる
炭治郎は鼻で察知し、咄嗟に避けたが
そのままみずきに向かって苦無が襲いかかった為
炭治郎はみずきを庇い、何本かまともに刺さってしまう
「……ぐぁぁっ!」
毒だったようで炭治郎は苦しそうに蹲った
『炭治郎君っ!』
みずきは一瞬、辛そうな表情をするがすぐに冷静になり
ごめん、少し待っててと言うと
血鬼術の苦無を躱しながら、しばらく鬼の癖を見る
炭治郎は気になるが吸血鬼だから多少は大丈夫だろうと思いながらも早く治療しなきゃと少し焦ると
一本の苦無が頬を掠める
『……っ!』
しかし、それがきっかけでまた冷静に戻り攻撃を躱しながら血鬼止めの薬をぬると
みずきは鬼の視界から消える
雷の呼吸で一気に鬼の懐に入り、そのまま頸を叩き斬った
元下弦だけある、少し苦戦しちゃったな…
鬼が消滅するのを確認すると
炭治郎の所に駆け寄る
『…炭治郎君、大丈夫?!』
「…俺は大丈夫です。もうすぐ、動けそうです。役に立てずすみませんでした…。みずきさんは、大丈夫ですか?」
『炭治郎君が庇ってくれたから大丈夫だよ。私の方が強いはずなのに守れなくて…守ってもらっちゃってごめんなさい…』
悲しそうに目を潤ませるみずきに
「…男が女の人を守るのは当たり前ですよ」
ニコッと笑う炭治郎
『…炭治郎君って吸血鬼じゃないみたい…優しいね』
言いながら、炭治郎の身体を抱き起こすと
炭治郎の顔色が変わる
みずきさんから今まで嗅いだことのない甘い香りがする…
あ、頬から血が…
そこで炭治郎の赤い瞳がギラリと光る
まずい、急に牙が出てきた
俺、確かに鬼の攻撃を受けたけど飢餓状態になるほどではない
稀血だからでも…ない
多分、みずきさんの血だから…こんなに美味しそうなんだ
凄い誘惑だ
最初から妙に気になる人だったのは、きっと…
今、冨岡さんや無一郎君の気持ち、分かりましたよ…