第5章 吸血鬼に甘く奪われて…(無一郎の場合)
「ごめんね。僕のしかないから、これで我慢して」
『全然、大丈夫。ありがと』
無一郎は適当に自分を拭うとさっさと着流しを羽織り
みずきの腕をしっかり処置し直す
消毒をし、新しい包帯を巻く
血は止まっていたが風呂に入ったせいか
少し痛んだが綺麗に処置してもらい胸を撫で下ろす
終わると手を繋ぎ
「…僕の部屋、行くよ」
言いながら移動する
意識しないようにしてた為、その言葉で心臓の音が煩くなる
程なくして、少し大きな部屋の前に着くと
「…本当にいいんだよね?」
好きにしても、と問われる
『…好きな所から吸っていいって』
言っただけ、と言おうとしたら唇を無一郎のそれで塞がれる
『んっ…ん…はぁ、んっ』
それ以上、何も言っちゃダメと言われてるようだ
唇を貪られ、苦しくなり口を薄く開くと無一郎の舌が強引に入ってきた
しばらく深い口付けをかわすと
息も絶え絶えに膝から崩れそうになり
無一郎が腰に手を回す
力なく、無一郎に身を預けると襖が開き中に連れられる
襖が閉まる音がやたら耳に響いた
布団に寝かされ
首筋に無一郎の顔が埋まる
「…良い香り」
首に音を立てて口付けられ、みずきの身体がピクリとする
「…はぁ、もう限界。吸ってもいい?」
首筋に舌を這わせ、妖しく視線を絡ませる
『…吸っていいよ』
それを合図に無一郎の牙が光り、太い脈にそれを立てられると
一気に突き刺さった
ブツリと音がして一瞬、痛みが走るが
その後は噛まれた所から一気に身体が熱くなり何が起こったのか分からなかった
みずきは吸われる感覚に戸惑い身を捩るが
無一郎が力一杯、抱き竦めてきて
まるで動くなと言われているようだ
最初から遠慮なく血を啜る無一郎
…何これ?血が甘い、すごく…美味しい
今まで飲んでたアレと同じ物と思えない
これ知っちゃったら、冨岡さんみたいにアレ拒否するようになるよね…
まるで別物
美味しくて止められない…
あ、でもあんまり吸っちゃったら可哀想だし
いつ止めればいいのかな?等と考えてると
『…あぁぁ、無一郎、やぁ、怖い…』
みずきが快感と恐怖の間で涙目になっていたので
牙を抜き、舌で傷口を塞ぐ