第5章 吸血鬼に甘く奪われて…(無一郎の場合)
食い入るように見詰める無一郎
『私は最後の1日であと少しで終わると油断してしまい、鬼に奇襲をかけられやられると思った時に…霞柱が颯爽と現れて鬼を斬り、私を一瞥し去っていかれました』
思い出し、少し微笑む
『…あの時から命を救って頂いた霞柱に何かあったら必ず力になれるようになりたいとがむしゃらになりました』
無一郎と視線が合う
『…あの時から、私はあなたをお慕いしております』
胸を鷲掴みにされたような気持ちになる
「…ねぇ、そんな事言われたら僕、我慢出来ないよ?血も吸うし、まぐわいもするかもよ?」
『私は霞柱が望むなら、構いません』
「…じゃあ、とりあえず腕の応急処置するね」
と顔を背けながらも腕の処置をする無一郎に
『吸わないのですか?』
「……そこじゃない所から吸いたいんだけど」
視線を首筋に向ける
「…1番、美味しく吸えるんだって。……ダメ?」
小首を傾げながら、上目遣いをする無一郎に
『……っ…分かりました…好きな場所から吸って下さい』
恥ずかしさに顔を朱に染め、言い放つみずきに
「…へぇ、そんな事言っちゃうんだ。色々楽しみだな~」
可愛らしい笑顔にどす黒さが混じる
早まったかもしれないと思うみずき
いつの間にか腕は処置されており
「改めて言うけど、生き血を吸ったらどうなるか分からない。操、奪っちゃうかもしれないけど、いいんだよね?」
『…はい、他の誰でもない、霞柱が相手なら』
私は嬉しいです、と恥じらいながら呟く
「…じゃあ、僕の屋敷に来て?お互い汚れちゃってるし、怪我もちゃんと処置したいし、まずは綺麗にしよ?」
いとも簡単にひょいと抱え上げられ驚くみずきに
「……僕、一応柱だからね」
考えてる事が伝わってしまい、機嫌を損ねてしまった
すみませんと小さく言うと無言で早駆けを始める
「みずきは僕と恋仲になりたい?」
移動中に突然の爆弾発言
『…私は、なりたい、です』
戸惑いながらも目を潤ませ告げられると
無一郎はふわっとした笑顔になり
「うん、僕もみずきと恋仲になりたい。僕と付き合って?」
『…はい、無一郎さん』
「…無一郎って呼んで?」
『………無一郎…っ』
「うん、よく出来ました」