第4章 吸血鬼に甘く奪われて…(義勇の場合)
話してる間に自分の家の前に着き
みずきは黙ったまま、扉を開き招き入れる仕草をする
「…いいんだな?中に入れば、もう止めないぞ?」
『このまま2度と、あなたと会えなくなる方が…嫌です』
義勇の手を両手で包み、中に引っ張る
家の中に入り、施錠をすると
その場で義勇の顔がみずきの首筋にすり寄り
鼻先を脈動の元へ掠めるように持っていき
「…この香りは、たまらないな」
徐に義勇の舌が首筋を舐め上げる
『……ぁんっ』
控えめな媚声が漏れる
「…吸ってもいいか?」
言いながら首の至る所に唇を這わせる
『…吸って下さい、義勇さん』
「承知した…みずき」
場所を探るように唇を這わせ、一際はっきりとした脈動のする筋へ舌を這わせた後
尖った牙がそこに宛がわれる
少しチクりとした後、急に身体中の熱が上がる
『…あっ!…え?…やぁ、何…?』
「…吸われた相手が痛くないようにする麻酔だと考えれば良い」
媚薬のような効果もあるがな、と心で言う義勇
牙から滴る待ち望んだ甘美な生き血が義勇の口内に入り、そのあまりの美味さに夢中になる
『…んっ、あ、やぁ、あぁぁんっ!』
控えめだった吸い方が段々とヂュルルッと勢いよく吸われるようになり、みずきは媚声を上げながら目の前がチカチカした
え、何で吸われてるだけなのにこんな声が出ちゃうの?
麻酔のせいか、全然痛くない。むしろ、気持ち良い…
やだ、私、変なのかな?と考えてると
「…声まで甘くなったな。そんなに気持ち良いか?」
時折、舌を傷口に這わせ流れ出る血をいやらしく舐め上げる
『あ、…ぁん、気持ち…良…いです…』
義勇の袖口を掴み、欲に濡れた瞳で見詰める
「…それは無自覚か?」
『…え?…何が、ですか?』
「その仕草は、無自覚かと聞いている」
『…?よく、分かりません…』
義勇は一瞬、眉を顰め一旦吸うのを止め、傷口に舌を押し当てる
しばらくすると、不思議と血が止まり傷口が塞がった
血が出ないのを確認すると義勇は
「…さっき、言ったな。吸ったらどうなるか、分からないと」
『…はい』
まさか、今日初めて会った女にこんな事を言うとは…
「……お前の血で興奮した。このまま、抱きたい。…否は聞かない。」