第1章 無口が放つ最高の殺し文句
少しため息をつきながら
『音柱様は一体、私に何が1番聞きたいのですか?』
すると宇髄はニヤつきながら
「お、なんだ。派手に駆け引きか?全部は答えませんってか。モテる女は違うな~」
その問いかけに答えず視線だけ送る
「じゃあ、聞くがよ。お前の心に迷いを生じさせてるのは一体誰だ?」
核心をつかれてしまう問に、だから音柱様は苦手だと強く思った
「これだけ柱連中に目をかけられてるんだ、自覚がないだけにしては動きがおかしい。誰かがお前の心にいるから誰の所にも行けないんじゃねーのかって聞いてんだぜ?」
『……それはさっきのやり取りで音柱様にはお分かりになったのでは?どうして聞きたがるのですか?』
「そりゃ、みずきの口から聞かなきゃ納得できねーだろ」
『…?』
「お前、俺が継子にしたいのは本気でも口説いてるのは冗談だと思ってんだろ?」
『…はい』
「俺はどっちも本気だぜ?だから、答えろ、みずき。答えなきゃ襲っちまって、既成事実作るぞ?」
今までに感じた事のない圧に背筋が冷たくなった。
この間合いじゃ、逃げ切れない。捕まる。
答えるしかないと意を決して口を開いた。
『確かにおっしゃる通り、…お慕いしてる方がいます』
静かに語りだす
『その方の前だと上手に話せなかったり、つれない態度をとってしまうので距離をおいてました。任務に支障をきたす可能性があったから、この気持ちはしまいこむつもりでした』
宇髄に動きはない
『なのに、その方は知ってか知らずか私を継子にと言いました。また気持ちが振り返しました。…止めどないほどに』
宇髄が近づく
『そこからは日々、想ってはいけない方を想いながら過ごしてます。それこそ、分不相応な想いです。…その方は水柱様です。』
宇髄が不意に手首を掴み、厚い胸板に誘われた。
『…!お止め下さい!離してっ』
「あんな地味な奴やめて俺にしとけよ。派手に愛してやるぜ?」
全力で拒んでるのにビクともしない。
「不死川だって、煉獄だって、少なくともお前を気にかけてる。他に目を向けてもいいんじゃねーか?操立てしてたって気付いてるかもわかんねー奴よりは、な」
みずきは一瞬、目を見開き動きを止めた
が、次の瞬間
宇髄の腕からするりと抜けて一気に後ろに下がった