第1章 無口が放つ最高の殺し文句
鬼に家族を惨殺され、死に物狂いで頑張ってきた。
いつの間にか階級は甲になっていたがあまり実感は湧かなかった。
私には飛び抜けた才能はない
自覚はないが足が速いと言われたくらいだ
前に音柱様と一緒に任務についた時に
「お前、それだけの速さ持ってて水の呼吸って派手にもったいねーなぁ!良かったら俺の継子になるか?まあ、4人目の嫁でも大歓迎だけどな~」
と、からかわれたがどうやら継子にはしたいようで
それからよく絡まれる
でも、自分が凡才なのは自覚している
だから、今から呼吸を変えたら今まで積み重ねた物がやり直しになりかねないし
そもそも人の上に立つ等、性に合わないと思い頑なにお断りしている
今日も絡まれるが
いつもより音柱様がしつこく
「なぁ、そんなに水の呼吸に拘るなら何で冨岡の継子にならねーんだー?聞いたぜ、神凪、冨岡からも継子の誘いがあったのに派手に断ってるらしいじゃねーか!」
思わず体がピクリと反応するのを必死に堪えたのに
「お、なんだ?さては冨岡にほの字か?」
などと楽しそうに言われてしまった。
最近、よく絡まれるから油断した
音に敏感な方だ、心音で勘づかれたか
『…邪推しないで下さい。私には分不相応だとお断りしただけです。音柱様にも同じように伝えましたでしょ?』
すると、宇髄は
「自覚がねーのか、どうか知らねーが俺や冨岡以外もお前には興味もってんだぜ?」
と意味深に顔をニヤつかせた。
「神凪、任務の時に応急措置しながら戦うだろ?しかも的確に。胡蝶が継子の枠増やしたがってるの、お前が欲しいかららしいぜ~?」
早くこの場から去りたい、居心地が悪いと早足になるが宇髄は構わず追いかけながら話を続ける
「不死川もお前には大層優しいそうじゃねーか?それにこの間は煉獄とも任務に行ったろ?あれから煉獄はお前の事ばっかり話しててウザイぐらいだぜ?任務にお前しか指名しないらしいじゃねーか。派手にモテんな!」
そう、軽く言いながらも圧をかけてくる
どうやら納得する答えを出せ、逃がさないぞと言われているよう