第3章 甘い匂いをもっと近くで
炭治郎はさらに拗ねてしまい
「…みずきさん、そんなに俺を焦らして楽しいですか?」
匂いで分かるようで言い当てられてしまった
『ごめんね、炭治郎君、可愛いからつい』
すると、みずきの頬をなぞりながら
「可愛いのは、俺じゃなくてみずきさんだ」
と、急に口調が変わり男の顔になる
その変化にみずきは驚く
『…た、炭治郎君、怒った?ごめんね、ちゃんと言うから』
炭治郎は答えず視線だけ向ける
本当は怒ってないがからかわれたので軽い仕返しだ
『…私も炭治郎君が好き。私と恋仲になってくれる?』
「はい、喜んで」
満面の笑みを浮かべ
おでこにチュッと口付けられた
『…おでこだけ?』
一瞬、自分の耳を疑ったが
もっとしてほしいって匂いもする
一気に興奮する炭治郎
「…あのみずきさん、俺、これでも我慢してるんですよ?」
『…うん、分かるよ。心臓の音、すごいもんね』
「…我慢、出来なくなっちゃったらどうするんですか?」
『…ふふ、眠いからよく分かんない』
そこで炭治郎は我に帰る
「みずきさん、まずはゆっくり休んで下さい!明日、俺非番ですしみずきさんも任務明けで非番ですよね?」
慌てて身体を離し、蝶屋敷へ向かい手を引く炭治郎に
『…やだ、今夜は帰りたく、ない』
恥じらいながらもはっきり言い切るみずき
「な、な、なんて事言うんですかぁぁぁ!そんな事言われたら、男はバカだから勘違いするんですよぉぉぉ?!」
と慌てふためく炭治郎に
『…勘違いじゃないよ?ちゃんと意味は分かって言ってるよ』
子供じゃないんだからと言われてしまう
恐ろしい葛藤が炭治郎を襲う
嬉しい、俺もみずきさんとそういう関係になりたいけど
でも、任務明けで疲れて動けなくなってたのわかっててそういう事するのは気が引ける
でもでも、みずきさん、俺を好きって言葉にした後からとんでもなく甘い匂いがするし求めて、もらってる訳で…
いやいや、炭治郎!しっかりしろ、長男だろ、我慢しろ!
そんな心中を察して
『…炭治郎君、行きたい場所があるから一緒に来て?』
と、柔らかく微笑むと
「わ、分かりました!行きましょう、どこですか?」