第3章 甘い匂いをもっと近くで
『炭治郎君が想ってくれるほど、私が彼を想えるか、まだ自信がありません』
「ふふふ、みずきさんのそういう真面目で不器用な所。私は好きですが、今回はそんな風に考えなくてもいいんじゃないですか~?」
『……?』
「では、言い方を変えますね。みずきさんは竈門くんが好きですか?」
その時、心臓がキュッとした気がした
「こういう時は初心に返るではありませんが余計な事は考えず、直感もたまには大事ですよ」
ニッコリしながら、顔を覗きこまれ
「…どうやら、答えは出たようですね」
『はい…しのぶさん、ありがとうございます』
すると満足そうにしのぶは去っていった
「…ついにみずきさんを盗られてしまいますね。」
思わず口をついて出た本音は誰に聞かれる事もなく消えていった
しかし、答えは出たがなかなか奥手なみずきは炭治郎に返事が出来ず遠方任務で蝶屋敷を後にし
炭治郎はその間に回復して、任務に出てしまっていた
だから、このやり取りは答えが出て初めてのやり取り
「…みずきさん、俺、言われた通りに安静にしてちゃんと治しましたよ?」
手首を優しく引かれ、炭治郎の腕の中へ
「…約束守ったから、俺、ご褒美がほしいです」
『…ご褒美?』
長男なのにこんな言葉が出る自分に戸惑いながらも素直に思った事を伝える
「…みずきさんが、ほしいです。身体だけじゃなく、全部。これからの時間、全部俺に下さい。」
みずきは目を見開く
『…それは恋仲になりたいって事?』
「出来れば、結婚したいです。今はまだ無理ですが全てケジメがついたら、みずきさんをお嫁さんにしたいです」
『…ふふ、お嫁さんか。考えた事なかったな』
「これからは考えて下さい、俺は本気ですから」
『うん、分かってるよ。炭治郎君はいつでも全力だもんね』
優しく微笑むみずきの笑顔に見惚れながらも
真剣な顔になる炭治郎
「…答え、聞かせて下さい」
『……炭治郎君は匂いで何となく分かってるんでしょ?』
そう返すと炭治郎は少し拗ねたように
「…確かに分かりますが、俺はみずきさんの口から聞きたいって言ったんですよ?」
甘えるような熱の籠る視線を向けられる
「…でも、最初の約束だと確か逢瀬にって話だった気が…」