第3章 甘い匂いをもっと近くで
今日の任務はかなり疲れちゃった
雷の呼吸で階級が乙なので割りと遠方の単独任務は多いけど
今回は蝶屋敷の看護明けで突然入った緊急案件だった為、緊張しながら向かったが鬼は大した事なく、任務が終わり緊張感が失くなった為すでに眠気が限界で
呼吸を使い、早駆けするもそろそろ動けなくなりそう…
蝶屋敷まであと少しがキツい
仕方なく一旦、休もうと近くの木に凭れかかり座り込む
しばらく目を閉じ、瞑想していると
「あれ?この匂い…みずきさん?…!どうしたんですかっ?!怪我してるんですか?」
と慌てたように駆け寄る炭治郎
『…炭治郎君、心配かけてごめんね。大丈夫、怪我はしてないから』
安心させるように微笑む
「…でも、疲労で動けないんですよね?俺が連れていきます、蝶屋敷でいいですか?」
と言いながら軽々と横抱きにされる
『ちょ、ちょっと休めば自分で行けるから降ろし…』
「ダメですよ、そんなフラフラじゃ放っておけません。恥ずかしいかもしれませんが我慢、して下さい」
ニコニコしながらも、絶対譲らない炭治郎に
『…分かった、じゃあお願いするね』
「はい、任せて下さいっ!急ぎますねっ」
みずきに気を遣いながら、早足で蝶屋敷に向かう道すがら
『…これから任務だったんじゃないの?』
と心配そうにみずきが聞くと
「いえ、丁度、任務後の帰りですよ」
だから、安心して下さいと続ける
みずきはハッとして炭治郎の身体を見て、怪我がない事を確認すると
『良かった、怪我がなくて。けど、ごめんね。炭治郎君も疲れてるのに…』
「そんな事、気にしないで下さい。むしろ、みずきさんが困ってる時に居合わせて良かったです」
『ふふふ、優しいね。炭治郎君は』
そう言いながら柔らかな笑顔を向けると
少し間が空き
「俺よりあなたの方がよっぽど、優しいですよ」
少し甘さを感じる低めな声に身体が少し反応する
「今も自分より、俺を心配してる匂いがします」
視線が合う
「俺の全てを優しく包み込んで癒す…すごく良い匂いが、します」
その熱を帯びた赤い瞳に
みずきの胸が早鐘をうつ
どうしよう、炭治郎君は鼻がいいから、このままじゃ意識してるのバレちゃう!と内心、慌てていると