第12章 高貴な方の唯一無二の支え~スルタン~後編
その声色に背中にゾクリと来るモノを感じ
一歩、たじろぐみずき
『…気が変わったとは?』
恐る恐る聞いてみると
「…そうだ、みずきが自らまた着飾りたくなるよう仕向けるのは…どうだ?」
事も無げに言うと
寝室のドアを開け放ち
みずきの腕を引き、反対側のバルコニーがある窓際へ連れて行かれる
最初は何を意図してるのか分からず、されるがままだったが
何となく、何をされるか気付き焦り始めるみずき
『お待ち下さい、義勇様っ…ま、まさかとは思いますがドアや窓を開けたまま…なさるつもりですか?!』
「…フッ、惜しいな」
ニヤリと笑いながら
窓を開けバルコニーに出て、柵まで追い詰めると
「…今すぐ着替えなければ、今宵はココでする」
言葉の意味を理解するとみずきの目が開く
『っ…義勇様、いくら寝室のバルコニーとはいえ下に誰がいるか分からないんですよ?!…イヤです!』
それに義勇様や私がいくら強くても無防備になるような行為をこんな所でするなんて出来ない!と考えてると
「…問題ない。見られようと聞かれようと構わない。隠すつもりもない。…負けるつもりも、ない」
目が本気だ、マズい
本当にココでする気だ
流石に、ココでされるのは危険すぎる
意を決して
『分かりました!き、着替えますから、手を離して下さい…っ』
すると少し名残惜しそうに手を離すと
「…外でするのも一興だと思ったんだが、残念だ」
恐ろしい事をさらりと涼しい顔で呟く義勇様
今後は逆らうのはやめようと固く心に誓うみずきだった
早々に窓を閉め、鍵を掛け
反対側へ走りドアも鍵を閉めると
ようやく、ひと息つけた気がした
「…ドアを閉めたと言う事は目の前で、着替えてくれるのか?」
義勇様が甘えるような視線でこちらを見詰める
試されてるのか、からかわれているのか
どちらにしても余裕がある義勇様
その様子を見て、何故か悔しくなり
『…義勇様がお望みなら』
虚勢を張り、精一杯艶めかしい視線を投げた
すると義勇様は一瞬、驚いたが
「…そうか、楽しみだ」
凄まじい色香でさらに挑発されてしまう
こうなったら、あとには引けない
やるしか、ない
背中を向けると
ゆっくりと夜着をスルリと落とした