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目眩く一時 ~刹那の情事~

第11章 高貴な方の唯一無二の支え~スルタン~前編




いけない、雇い主にあらぬ感情を抱くな

仕事に集中しろ!と自らを叱咤し、自分の淡い気持ちに蓋をしようと日々、努力するみずき


義勇はそんな彼女の変化を敏感に感じ取り

その頃には、自分の気持ちを告げるタイミングを見計らっていた



俺の勘違いでなければ【陽の気】と【陰の気】の相性が非常に良いみずきも無意識に俺に惹かれているはず…

だが、家柄や立場を弁える真面目な彼女は俺への気持ちを隠す

俺から動かねば、彼女を逃すだろう

…逃がすつもりは、毛頭ない




ーーー



心を決めて夜、みずきを閨へ呼んだ

遅い時間だったが、すぐに来て

『只今、参りました。何かやり残した事がありましたでしょうか?』

格好は侍女の服から護衛服に変わってはいたが、湯浴みをした後だったようで普段は上に縛っている髪を下に緩く結び、石鹸の香りをさせながら頬を紅潮させた状態だ

格好にこそ色香はないが表情は目に毒な程、色香を含んでいた

「…いや、やり残した事はない。いつも完璧だ。感謝している」

と、目を合わせる

『では、何かご所望の物がおありでしょうか?』

「あぁ…お前だ」

『……はい?』

「聞こえなかったか?俺は…みずきを、望んでいる」

『……私の何を…でしょうか?』

「強いて言うなれば、全てだ。…気付いてるはずだ、俺達の【気】の相性の良さ」

それまで座っていた義勇がベッドから立ち上がり、徐にみずきへ近付く

冷静を装っているが軽くパニック状態の彼女を容易に腕の中へ誘う

彼女がビクリとするが強めに抱き竦めると

お互いの【気】が混ざり合い、僅かに身体が熱くなる

『…ん、王子…お戯れは…お止め、下さいませ…っ』

「……俺が遊びでこんな事をするように見えるのか?…分かるだろ、この感覚」

『…ぁっ…王子…何だか、変です。…お離し、下さい』

「本当に今、離れたいか?嫌なら止めるが………嫌では、ないな?」

『…んんんっ!…耳許で囁いちゃ…っ…!』

「本気で嫌でないなら、止める気はない。…諦めて、受け入れるといい。享受しろ、この甘い感覚を」

みずきはそのまま、ベッドに押し倒されてしまうが

直接、肌に触れて【気】を少し交わらせた事で身体が甘く痺れてしまい、全く力が入らずベッドにしなだれてしまう



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