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目眩く一時 ~刹那の情事~

第10章 少ない口数が増える理由は?




みずきのお気に入りの甘味処に着くと

『餡蜜とお汁粉、お茶を2つお願いします』

手慣れた様子で注文した

『ここはあんこが美味しいから、おすすめを注文しちゃったけど良かったかな?』

「はい、あんこ好きです!ありがとうございます!」

爽やかに笑う炭治郎が可愛くて

『…ふふ、可愛い』

思わず口から出た言葉だったが

「…俺よりみずきさんの方が可愛いですよ?」

急に大人びた表情をする炭治郎に少しドキリとするも

『そういうのは好きな子にだけ、言ってあげて?』

ニッコリと返す

俺はみずきさんの事、好きですよ

出会うのが遅かっただけで…

そう心で呟きながらも口から出るのは

「…そうですよね、変な事言ってすみませんでした」

それだけだった



ーーー


しばらく他愛ない話をしていたが餡蜜とお汁粉がきたので食べながら、義勇の話になる

「何がそんなに不安なんですか?冨岡さんとみずきさん、上手くいってるように見えますけど」

『うーん、上手くいってない訳じゃないけど…何て言うか、いるのが当たり前になってるというか』

「…それは何かまずいんですか?」

『…恋仲ってなんか、もっとドキドキしたり楽しかったりするものだと思ってたんだけど…最近は何だか夫婦みたいに落ち着いちゃってて』

はぁ、とため息をつくと

『私、義勇さんにちゃんと恋仲として見られてるのか分からなくなっちゃって…どうでもいいと思われてたら、どうしようって』

切ない視線を投げるみずき

不安げな悲しい匂いが鼻に漂ってきた

「少なくても冨岡さんはみずきさんの事、大事に想ってると思いますよ?」

いつもみずきさんを見てる時、甘い匂いがするからと思いながら言い忘れる炭治郎

『そんなの、分かんないじゃん。…あーぁ、義勇さんが炭治郎君みたいに気持ち察してくれる人だったら良かったのになー』

言った瞬間、背後に気配を感じ振り向くと

「……炭治郎の方が、いいのか?」

義勇が不機嫌を露にして立っていた

まずい瞬間を聞かれたと思うが取り繕えず

『…義勇さん、任務だったんじゃ』

「早く終わったから、帰って来た。……何か不都合があるのか?」

義勇がジロリと炭治郎を睨み付ける



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