第2章 一人ぼっちのEve(第9.5章1)
『そうですね。仕事してからはクリスマスの時期はいつも忙しかったからある意味では気が紛れたのだと思います。
店舗から店舗へ移動するときに、街で見かける一緒に過ごす恋人たちをみたり、お店に来たカップルを見ると、"私も恋人が出来たらこんなことが出来るのだろうか?"って考える時も少なくなかったので、仕事が忙しいとそっちに集中するから余計な事を考えなくていい。ありがたいと思ってました。』
秘書「今年は良いイブになると良いですね。」
『うーん。とりあえず帰りにチキンとかケーキを買おうかな?』
秘書「東京には様々なイルミネーションがありますから、ゆっくり堪能するのも良いですよ。」
『そうですね。参考にしてみます。』
昼食を終えた秘書は先に食堂から出ていった。
椿姫は秘書とわかれた後、携帯でクリスマス料理や、イルミネーションなどを調べ始めたのだった。
午後の研修も終わり、近くのイルミネーションを見てデパ地下に寄って帰ろうかと椿姫は考え、帰りの支度をして、メインドーナツ本社を後にする。
地元ではあまり見れないイルミネーションの数々に、椿姫は思わず見入ってしまい、気がついたら2時間たってしまっていた。
椿姫は慌ててデパ地下へ向かうが、それらしいものはもう残っておらず、肩を落としてデパートを出て、結局いつものコンビニでチキンとかろうじて残っていたケーキを購入したのだった。
ホテルに着いて、チキンとケーキをテーブルに置くが、東京へ来てから似たようなものばかりを食べているからか食欲がわかず、一旦室内の冷蔵庫へ入れて置いた。
身体が冷えてしまったため湯船にでも入ろうか悩んでいると、突如ドアのノック音がして名前を呼ばれる。
おそらくこのホテルの従業員だろう、椿姫は何の用事か疑問に思ったが、待たせてはと思い部屋のドアを開ける。
従業員「國生様、お帰りになってすぐに申し訳ございません。」
『いえ。何か?』
従業員「シャーロット カタクリ様からのご注文で、國生 椿姫様宛に特別メニューをご用意させて頂きました。
申し訳ございませんが、お部屋へ入ってもよろしいでしょうか?」
『あ、はい。』
ホテルの従業員は椿姫の部屋に色々な物を運び、室内のテーブル1面に並べていく。