第2章 一人ぼっちのEve(第9.5章1)
『あの・・・これは?』
従業員「こちらがシャーロット カタクリ様からのご注文いただいたお料理です。」
そう言ってホテルの従業員は、料理ひとつひとつに被せてあったクローシュを取っていく 。
そこには素晴らしい出来栄えの料理が1人分ずつズラリと並べてあった。
従業員「こちら当ホテルのクリスマスディナーとなります。
是非ご賞味ください。
皿の返却などは気にせず、そのままお部屋に置いていただければ、明日の清掃時に回収しますので、ごゆっくりお過ごしください。」
『あ、ありがとうございます。』
従業員「それと、こちらをどうぞ。」
ホテルの従業員は椿姫に綺麗にラッピングされた箱を渡す。
『あの、これは?』
従業員「こちらも、シャーロット カタクリ様より國生様宛にご用意されました。」
『あ、はぁ。』
従業員「それではごゆっくり。」
ホテルの従業員は部屋を出ていき、椿姫はプレゼントの箱を一旦テーブルに置く。
先に料理が冷めてしまう前に食べてしまおうと思ったからだ。
さっきまでは食欲がわかず食べようと思わなかったが、ホテルの料理の品々を見て食欲がわき、ナイフとフォークに手を伸ばし食べ始める。
ナイフとフォークを実際に使ったのは小学の修学旅行の時以来で、時々テレビなどでも見ていたが、最近じゃこういうのに触れることも見ることも無かったためか、ぎこちない動きになってしまう。
『自分の部屋で良かったな・・・食べ方とか気にすることなく食べれる。
美味しい♡』
今まで食べたことの無い味と、美味しさと温かさに椿姫はペロリと完食してしまった。
『ゆっくり食べて、明日の分も残しておこうと思ったのに・・・食べちゃった。
贅沢だ!カタクリさん、気にしてくれたのかな?
あっ!目の前の料理が食べたすぎて、カタクリさんに確認するの忘れてた!』
椿姫は慌てて携帯を取り出し、カタクリに送るメッセージを打つ。
そこでふと、プレゼントの存在を思い出し、綺麗にラッピングされた箱を丁寧に解かし、開封する。
『こういうプレゼントは初めてだな。勿体ない。でも、中身を確認しないと、メール送れないもんね。』
箱を開けるとそこには、椿姫の手のひら程に収まるキーケースが入っていた。