第6章 2度目の貴方のBirthday(第31章以降)
椿姫が入社してからいや、椿姫を好きだと自覚してから、実はカタクリは仕事中でも常に椿姫と一緒にいたい、すぐ触れられる距離にいて欲しいと思っていたのだ。
何かあった時に自分がすぐに守れるという椿姫の安全が確証されるし、何より自身が一番落ち着いていられるからだ。
それが今回、誕生日という形である意味夢が叶い、内心ほくそ笑んでいた。
その後、椿姫が自身の膝の上にいる事により、いつもよりやる気が出たカタクリは、いつも以上に仕事のスピードを上げ、予定よりだいぶ早めにこの日の業務を終わらせたのである。
途中椿姫が『仕事やりづらくないですか?』と聞いても、「全く。」と何も苦ではなさそうにさらりと言われてしまい、何も言えなくなった椿姫だった。
15:00になる約5分前。
メリエンダの準備で中山が室内に入って来た。
秘書「失礼いたします。
・・・・・・・・仲が宜しいことで。フフフ
本日のメリエンダをお持ちいたしました。
今回はこのシチュエーションを予想していましたので、私が給仕担当に代わり、説明させていただきます。
お昼の時にも言ったように、本日は以前アンケートをとりました、自身のメインドーナツ内で一番好きなレギュラーメニュー商品及び期間限定商品をお持ちしました。」
この日だけは過去の期間限定商品でも改定前のレギュラーメニュー商品でも、好きなドーナツでしたら特別に食べれるようになっている。
この日のこの企画は数年前から始めたのだが、みんなが喜び反響も大きいため、毎年続けている。
今は廃版となってしまった商品もあり、材料やらを考えると1年に1度と限定してしまっているが、逆に年に1度という希少なことも良い意味で社員のやる気を上げている企画だ。
秘書「國生さんはこちらですね。
社長はいつものです。」
中山が2人にドーナツと紅茶を置いていく。
『へぇ~、本当に過去の商品でも食べられるんですね!
願ったり叶ったり~♪』
椿姫の希望したのは過去に1度期間限定商品として販売されていた濃厚抹茶のドーナツの間にあずきと生クリームが挟んであるドーナツと黒糖生地に抹茶を使用した生クリームがサンドされているドーナツが用意された。