第6章 2度目の貴方のBirthday(第31章以降)
突然2人きりにされてしまった2人は、この状況に少し固まってしまう。
しかし、いくらそうしても何も変わらないと察したカタクリは椿姫に声をかけた。
カ「とりあえず・・・座ったらどうだ?
朝から大変だっただろう?」
『まぁ、そうですね。
変に疲れました。』
カ「すまねぇな。アイツ(中山)は暴走したら止まらねぇ。
俺も何年も一緒にいるが、止め方もわからねぇんだ。」
『・・・あれは変に止めない方が良いと思いますよ。
でも、中山さんも悪気があるわけではなし、寧ろある程度の線引きはしてのこれですからね。
そのくらい好きにしてもらった方が良いと思います。』
カ「・・・確かにな。」
話をしながら社長室内に設けられた、応接用のソファーへ座る椿姫。
カタクリは椿姫の様子を見ながら目の前にある書類を片付けようとするが、すぐ近くに椿姫がいるということに仕事どころではないと内心落ち着かず、そわそわしだした。
そんなカタクリを知ってか知らずか、椿姫もまた気まずそうにただぼぅっとこの日のために用意された花をただただ見ているだけだった。
無言のまま数分。
互いに何か話を・・・と思っている中、互いに"何を話せば?"と思考を巡らせる。
だが、いくら探しても思いつかない。
それもそのはず。
実は2人は昨日の夜ーーーつまり昨日の仕事終わりも会って買い物や食事などの、デートをしていた。
―――仕事が忙しいときや、用事がある時以外はほぼ毎日会っている2人―――
その際にも十分すぎる程会話をしていたため、今更会話をする内容もない。
昨日の食事の際にも、少しの間会話が止まると言うのを数度繰り返していたのだ。
今会話が無いのも無理もない。
2人が互いに会話がなくもたついたまま、さらに数分。
シンー・・・とした静けさに割言って入ったのは、カタクリの秘書、中山だ。
2人分のドリンク(カタクリには紅茶,椿姫にはコーヒー)をそれぞれに置き、椿姫の同僚に頼んで持って来てもらったパソコンなどの仕事道具も椿姫に渡し、中山本人は「それでは、ごゆっくり。」と言ってそのままそそくさと社長室から出て行った。
そんな中山を見送った2人は、それぞれ仕事にとりかかり始めたのだった。