第13章 13、ハリネズミのジレンマ
日が傾き、定時になり、ちらほら帰る社員さんを見送って資料を纏めて保存をする。
『ねぇ。ゆめ。』
「っはい!!??」
後ろから不意に乱歩さんに声をかけられ、驚いて立ち上がってしまう。
びっくりした……。乱歩さんも少し驚いて避けてたけど。
……そんなに嫌いかなぁ。
『今日はもう仕事終わりでしょ?一緒に帰るよ。』
……一緒!?
乱歩さんと!?一緒!?
「え!?良いんですか!?」
『じゃ、僕先行ってるから。』
「え、ちょ、待ってください!!!」
嫌な事を考えていた筈の頭はどこへやら。
一緒に帰れる幸せに埋まってしまった。
帰りの支度を手短に済ませ、先に1階へ向かった乱歩さんの元へ走る。
「お先しつれいしまーす!!!!」