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【文スト】愛故に【江戸川乱歩】

第11章 11、お土産(中也落ち)







「、、、こんぐらいあれば、十分ですかね。」


結局片手ぐらいにしか集まらなかったシーグラス。


本当はもっと話していたかったけれど、夜は彼の時間だと言っていたから。


『、、、それ、1個くれるか?』


「良いですけど、どうして?」




『、、、お土産。』




俺へのな。と言って、私の手のひらから赤みがかったシーグラスを取っていく彼。


あぁ、好きだ。












結局バス停まで送って貰ってしまった。


どこまで優しいのだろう、この人は。


帽子を返し、持っていたシーグラスは制服のポケットにしまい、中也さんに向き合う。


「、、今日はありがとうございました!」


『おう。気ぃつけて帰れよ?』






「、、、また、会いたいです。」




『、、、。』




少し目を開いてこちらを見る中也さん。


やっぱり迷惑だったかもしれない、そう思って思わず俯くと、頭に少しの重みが加わる。


中也さんに頭を撫でられている。




『、、、会えるかもしれねえし、会えないかもしれねぇ。』



頭に置いていた手が軽く力を含み、少し上を向くと、おでこにキスをされる。




手が離れ、少しの沈黙。





「へ、、、なに、しました、?ぇ、、、?」



困惑の余り、キスされた場所へ手をやると、中也さんは寂しそうな目で笑ってくる。






『また会えたら別の所にキスしてやるよ。』



大人ってこういうのを言うのだろうか。



クラスメイトには言えないお土産が沢山できてしまった。
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