第11章 11、お土産(中也落ち)
目の前には砂浜。
膝が少し痛い。
砂浜に足を取られ転んでしまった様だ。
『あーあー。大丈夫かよ。』
ぶっきらぼうにそう言うと私の手を引っ張ってくれる。
私ぐらいの身長なのに、手は大きくて、引っ張る力も強くて。
普段友達と騒ぐだけで男性慣れなんかしてない私は、それだけで顔を赤くしてしまう。
「あ、ありがとう、ござい、ます。」
『ん?どーって事ねーよ。それより』
『顔、真っ赤だぜ?』
ずい、と顔を近付けられ思わず仰け反ると、背中にさっきの大きな手が回る。
「えっ、ちょ、あの、待っ」
『なんてなー!いやぁ、反応面白ぇわ。』
「~~~!!!」
からかってただけなのか!頬を膨らまして怒った素振りを見せれば
『悪かったって。んで、お土産探しはすんのか?』
「、、、します。」
『よし、んじゃ探すぞー。』
さっきまでのからかいはどこに行ったのか、砂浜に手をやりシーグラスを探している中也さん。
まぁ、いっか。なんて直ぐに感情が変わる私は流石の女子高生と言ったところか。
シーグラスを探しながら沢山の話をした。
私の学校の事。
毎朝6時に起きなきゃだけど、今日は寝坊した事。
中也さんの事を聞いたら、夜を守ってる、とだけ言われた。警備員か何かの仕事なのだろうか。
頭が日に照らされて熱いと言ったら、中也の被っていた帽子を被せてくれた。
そんな髪色してたんですね、と言うと、カッコイイだろ?と笑ってくれた。
段々日が沈み当たりがオレンジ色に染まっていた。
まるで、中也さんの髪色みたいだな。なんて思ってしまう私は、
もう、放課後の時の私に戻れなくなっていた。