第4章 Attack of the Clones.2
オビワンは腕を組んだまま、思いついたように話を切り替える。
「ああ、ここに住んでいます。報酬の一部が変わっているのですよ。フェットはたった1つのものを要求してきました。手を加えていない彼自身のクローンです。興味深いでしょう?」
「手を加えていないとは?」
「純粋な遺伝子的複製ということですよ。より従順にするような構造変更も、成長加速も行わずに作られたものです。」
「自分の子供が欲しかったのね。」
「そのようだ。」
2人は顔を見合わせてつくづく感じるオリジナルホストの危険なにおいに、眉で合図を送る。
自分のクローンなんて報酬が出ても作ってもらおうと思わない。
自分と同じ顔が何十万と作り出されるのだ。エキドナなら気持ち悪いと思ってしまう。
オビワンが眉を二回あげる。これは、そこに突っ込もうという合図である。
エキドナはその意図を読み取ると、ラマ・スーに向き直った。
「ぜひそのジャンゴフェットに会わせていただきたいですな。」
「喜んでお取り計らいさせていただきます。」
だいぶ奥まで行っただろう。
先ほどとは打って変わって行進の音が鳴り響いてくる。
上から軍を見れるようになっているようで、通されるがままに入ったバルコニーからの景色は呼吸をするのを忘れるような眺めだった。
「壮大な眺めでしょう?」
一ミリとしてずれのない整列に、武器の角度まで。すべてがきっちりそろっていて、白い甲冑を着た兵士たちは勇ましく行進をする。
「オビワンこれって…。」
エキドナが名前を呼ぶが、オビワンは開いた口がふさがらずに固まっている。
足音さえそろっているその空間の空気は、ぴしゃりとしていて、エキドナは顔をしかめる。
ラマスーの目の前で言うわけにはいかないことばかりで、評議会に連絡すべきと考えた。
「それでは、ジャンゴの元へお連れします。」
トーンウィーに連れられ、プラットフォームに向かう。
目が慣れてきた白い壁と対比するように、外はまだまだ豪雨という言葉では言い表せないほどに雨が降っている。