第2章 The Phantom Menace.2
定刻。クワイガンの火葬が始まった。
すっかり陽が落ちて、あたりは吸い込まれそうな闇。
そんな中、焼かれゆく彼の体は燃え盛った。
二度と目を開けることのないクワイガンは、まるで眠っているようで
今焼かれているのは蝋人形なんじゃないかと、何度もエキドナは疑う。
エキドナ自身、葬儀にでることは初めてであり、フードを深く被ったまま彼を見つめる。
アナキンを挟んだ向こう側にいるオビワンは、ずっと炎に包まれた師匠を見送っていた。
「これから僕はどうなるの?」
「評議会からお前を訓練する許可が出た。お前はジェダイになる。約束しよう。」
眉を八の字にしてオビワンを見るアナキンに、オビワンはそう言った。
正式なマスターじゃなくとも、このアナキンの行く末の責任の半分はエキドナにある。
心配そうに震えるアナキンを、エキドナは優しく撫でた。
それから次の日、オビワンのパダワン卒業とアナキンのジェダイ入門式が行われた。
暗闇の中12人のヨーダを始めとする評議員たちが、ライトセーバーを輝かせて待つ「ナイトの間」に呼び出され、グランドマスターヨーダによりナイト昇格の宣言を受けるのだ。
最後にセーバーにより、三つ編みが切られて儀式が終了となる。
エキドナはどちらの式にも参加できないが、その分アナキンの部屋の準備は張り切っていた。
「エキドナ?」
「マスターティ!」
いそいそとアナキンの部屋を準備するエキドナを呼び止めたのは、エキドナを育て上げた美しい女性シャアク・ティであった。
「とうとう貴方もパダワンを育てることになるのね。」
「オビワンの補助です。私にパダワン育成なんて務まりません。」
「いいのよ、自信を持ちなさい。貴方は私の自慢のパダワンなんだから。」
この落ち着く凛とした声色も、暖かいフォースも、久しぶりでエキドナは少し涙が出そうになる。
「マスター…。」
「久しぶりに話ができて嬉しいわ。」
シャアクティはそういってエキドナの肩を摩る。
「交渉よりも戦いが多いあなたを心配していたの。」
「ご心配ありがとうございます。私はこの通り元気です。」