第2章 The Phantom Menace.2
評議室に取り残されたエキドナは鈍く光る夕日を見ながら、口を開いた。
「頑張ろうね。」
「あぁ、もちろんだ。引き続き世話をかけるな。」
「いいのよ。クワイガンが信じたんだから。」
「エキドナ、お前と再会できてよかったと思ってる。」
「私もよ。」
地平線を赤く染める夕日に向かって、エキドナ達はぽつりぽつりと話していく。
「独り立ちを飛ばしてマスターになるなんて、思いもしなかった。」
「大丈夫。貴方は強いから。私よりも安定した心を持ってる。」
エキドナはオビワンの顔を見て笑って見せる。
「オビワンが穴に落ちた時、不覚にも私は真っ黒な感情に支配された。貴方は違う。」
「違うんだ。私は、私は…ダメなんだ。今もこうやって君に。」
オビワンはその先の言葉を出かかったところで飲み込む。
これを言ってしまえば終わってしまうからだ。
「私に話してすっきりするなら、何千時間と聞くよ。」
「……すまない。」
エキドナは長いまつ毛を夕日で光らせながら、窓際まで歩く。
オビワンはそんなエキドナを見ながら、自分の言いかけた言葉が察されなくてよかったと心底思った。
そう。彼が言いたい言葉は「今もこうやって君に元気づけられている。」ではない。
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今も君に。_____________。
________見惚れている。
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オビワンは、ここに居てはなにか口走ってしまいそうだと感じて、エキドナを連れて早めに葬儀へと向かった。