第2章 The Phantom Menace.2
人感センサーで開いた廊下への扉の向こうには、黒い服をまとった、赤黒の顔の男が待ち受けていた。
一行が一瞬でシスの暗黒卿であることを悟ると、一気に緊張感は高まる。
エキドナは、反吐が出るほどの真っ暗なフォースに自然と緊張して指先が冷たくなるのを感じた。
タトゥーインを出る際に襲撃してきたシスに間違いない。
息をするのすら怖くなるほどの緊張感を振り払いながら、クワイガンとオビワンの顔を見る。
今からエキドナは女王の護衛に専念し、彼らにシスを託す。
1000年以上復活しなかったシスに対して、無力なのがまた彼女の緊張を高めた。
「我々にお任せを。」
「迂回しましょう。」
クワイガンとオビワンは、戦闘すべくローブを脱ぎ捨てる。
エキドナは、パドメのほうへ駆け寄ってから振り向くと、フォースで心を落ち着けようとする2人に声をかけた。
「クワイガン!オビワン!フォースと共にありますよう。」
エキドナの声に彼らはうなづくと、ライトセーバーを起動する。
「どうか、怪我しないで。」
エキドナはそう言って、今から後ろでクワイガンやオビワンが刺されようと、女王の護衛を優先させなければいけない現実を受け入れて彼らに背を向けて走り始めた。
すぐそこの廊下に出ると、もちろんの事そこには何十というバトルドロイドが待ち受けている。
エキドナはフォースダッシュやジャンプを駆使して、誰よりも先に先陣を切る。
ワルツの様に踊る彼女はこんなにも殺伐とした状況でも、美しく、圧倒的な力を見せつけてドロイドをなぎ倒していった。
「陛下、こちらです。」
大きな廊下を制圧すると、エキドナは少しでも近道になるようフォースの導き通りに走り回る。
しかし、倒しても倒しても出てくるドロイドの数と、その降り注いでくるブラスターの雨は、エキドナを30分以上苦しめ続けた。
「糞ッ。」
女性らしからぬ発言をしながら、ローブにブラスターがかすめたとき、パドメはエキドナを呼んだ。
「マスターアイヴァーン!こっちです。」
すぐに駆け寄ったエキドナは、女王が窓から上に上がると言っていることを察して慌てて止めた。
「そんな、陛下。」
「大丈夫です。先に行ってくれますか?」
「……はい。」