第1章 The Phantom Menace
10分もしないうちに大丈夫と船長から報告を受けると、いよいよクワイガンを待つのみとなった。
いつでも離陸できるように人員は中で待機している。
「んん?」
オビワンに現在地の座標からの計算をしてもらっている間、ぼーっとしていたエキドナは、フォースに違和感を感じてついていた頬杖を外すと、窓から外を見る。
目を細めた先に見えるのは、緑色のライトセーバーに赤色のライトセーバー。そして小さな男の子であった。
「クワイガンが襲われてる!」
オビワンが驚いてこちらの様子を確認すると、船長に指示を出す。
「離陸して。あの上へ。低く飛ぶんだ。」
船頭で指示を出しているオビワンを見ると、エキドナは少年を引き上げるべくローブを脱いで船から飛び降りる。
そして少年を抱き上げてからフォースを使って船までまた戻ると、少年を下ろして次はクワイガンのもとへ飛び降りた。
「エキドナ!!」
オビワンの引き留める声も聞こえず、緑と赤のセイバーが交わる中に飛び込んでいく。
吐き気のするほど真っ黒なそのフォースに、エキドナは少し恐怖を抱く。
このようなフォースを持つ者と戦うのは初めてだからだ。
それはクワイガンも同じであるが、経験の差からクワイガンは比較的安定していた。
「っ!!」
クワイガンがフォースで吹き飛ばされ、敵の真っ赤な顔に黒い模様、真っ黄色な目とにらみ合うと、エキドナと敵の一騎打ちとなる。
「エキドナ!引き揚げろ!」
後ろから聞こえるクワイガンの指示に従うべく、エキドナもなるべく敵に隙ができるように戦い方を変える。
そして、大きく敵の腹に蹴りを入れるとエキドナも船まで下がった。
「大丈夫?」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫、クワイガンは?」
「問題ない。」
暑さから、息を切らす2人に侍女が水を持ってくる。
クワイガンとエキドナは水を飲みながら、話をつづけた。
「何なんですか?」
「分からんが、ジェダイの武芸に熟練していた。おそらく女王を追ってきたんだろう。」
あの赤いセイバーに、ジェダイの武芸に熟練していたところ。真っ黒なフォース。ここから出される答えは最悪の結果。
エキドナはその一言を口に出しかけたが、混乱を恐れて飲み込んだ。