第1章 The Phantom Menace
「紫外線が強いからついて行かなくてよかったかも。」
オビワンと並んで断線していた個所を予備の配線で修理するエキドナは、船の作る日陰に入りながらローブのフードを深く被ってそう言った。
「何も気にしていませんでした。修理やっておきましょうか?」
「劣化が恐ろしいのよ肌の。でも大丈夫、もうすぐこっちは終わるし。」
じりじりと地上を熱するこの気候は、日陰に居てもエキドナの全身から汗を出させる。
「うーん。」
どうしても一束になってくれない5本の線に悩んでいると、オビワンは手伝いますと隣にきてくれる。彼の昔からの真面目な性格と、変人といえどとてもユーモアのあるクワイガンからの長い指導で彼はとても従順なジェダイに成長している。
「ありがとう。この線を留め具で止めてくれる?」
「わかりました。」
まるで上司と部下のような、他人のような敬語を使う関係。
先ほどの様にエキドナはまた気分を落ち込ませた。
「こんなかんじですか?」
「あ、うん。」
すっかりと差のついてしまった身長差に、エキドナの意識は向いてしまい、またもや意識してしまう。
イニシエト時代はせいぜい10センチの身長差だったものが、今では20センチも差が開いている。
彼の止めにくいこの配線達を、真っ直ぐと見つめる目にエキドナはくらくらさえしてくる。
「終わりました。」
心臓の音でなにひとつ集中できなかったエキドナ。オビワンの声にハッとするともう一度お礼を言って彼が離れていく。
「ありがとう。船内に戻ろっか。」
エキドナがそう言うと、オビワンも待ってましたと言わんばかりに工具をまとめて船に戻った。
…それから少しして、エキドナが何も起きない船内に眠りかけていたころだ。
ふと体を揺らされて夢の中から意識を戻す。
「マスターエキドナ、通信が入ってます。」
「ん?」
立ち上がり、起こした張本人オビワンの後ろを付いていくと、通信室ではナブーの大臣の姿が映し出されていて、オビワンが再生ボタンを押すとその映像が流れた。
「ナブーは大混乱です。すぐにお戻りください陛下。」
どう考えても罠である映像を消すと、横に居るパナカに答えを求められているようで口を開いた。
「罠ですよ、絶対に返事しないでください。」