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陽の沈む夜に。

第12章 The Clone Wars.6



エキドナは駄目なのは百も承知だが、このような少年をきっかけに戦争を大きくしたくない。第一、この少年に心の傷を植え付けたくない気持ちが勝ってエキドナはグレイの前に立った。

「ジェダイです。この子の事情聴取は終えました。星の人間で、飛行練習をしていたようです。」

「ま、マスタージェダイ。お勤めご苦労様です。お怪我はありませんか?」

「私もこの子も大丈夫です。ただ少し驚いてるから落ち着かせたら私が送ります。」

「そんなマスタージェダイにそんなことさせられません。アイヴァーン将軍ともなるお方に…!」

「ちょっと旅してる途中だから大丈夫ですよ、仕事に戻って。」

「そ、そうですか…。」

アイヴァーン将軍が言うなら、、、と帰っていった警備隊を見送ると、次はグレイを見る。

「お姉さん…。」

「黙っていてごめんなさい。私ジェダイなの。」

先ほどまで打ち解け始めていた空気は、ぴしゃりと凍ったように冷たくなる。

「じゃあなんで僕をかばったの?」

「もし私が差し出せば、貴方は勢力裁判にかけられて、意図のない着陸でも大きな問題として刑罰が待っている。そんな若いうちから嫌な思いしたくないでしょ?」

「そうだけど、おねぇさんたちは僕たちを負かす為に戦ってる。僕を差し出したほうが利益になったはず。」

「子供には罪がないもん。勝手に上が戦争してるだけでしょ?私も特別分離主義者に恨みがあるわけじゃない。この戦争で亡くなった同期もいるけど、それは自然の摂理だから。」

エキドナはスラスラと口から出ていく本心に、つくづくジェダイだなぁと感じる。
綺麗ごとではない。ジェダイとして生きてきて染みついた考えだった。

「ジェダイも悪い人ばっかりじゃないんだね。」

少年からふと出てきた言葉にハッとする。
そうだ。グレイから見ればジェダイは悪者で、分離主義勢力からしたらジェダイは人殺しだ。
''アイヴァーン将軍''なんて持ち上げられているエキドナなんて、諸悪の根源のレベルだろう。
こちらで言うグリーヴァスのようなものだ。

「そうだよね、グレイから見たら私達は悪い人だよね。」

「おねぇさんには僕が悪者に見える?」

「ううん、貴方はただの少年だよ。」

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