第12章 The Clone Wars.6
しかしここで落ち込んでいてはいけない。
本当はコルサントに戻りたいが、そうはしていられない。
泣いていると、ふとそんな冷静な自分が戻ってきたので、エキドナは重い腰を上げて広間へと戻った。
「エキドナ!」
「マスターアイヴァーン!」
さっきとは打って変わり、深刻そうな大広間。そんな中エキドナの登場にオビワンとプレが同じくらいのタイミングで彼女の名を呼んだ。
「もう大丈夫なのか?」
「ご心配おかけしました。もう大丈夫です。」
任務ではどこでも敬語なんて使わないエキドナが、オビワンに対して敬語を使ったことに、オビワンの眉は動く。
「貴方が犯人を取り逃がしたのね?」
「はい。私の至らなさが招いた結果です。申し訳ございません。」
「ほら、やっぱりオビワン一人で充分よ。人が死んでしまったのよ。」
サティーンは宇宙一と言えるほどの平和主義者であり、人が死ぬことや銃を所持することを毛嫌いする。この激化する宇宙戦争の中で、この星が共和国連合にも分離主義勢力にも傾かないのは、彼女が政権を握っているからであることに他ならない。
昔は、この美しい星マンダロアは、もともと戦闘民族であり危険な星であったが、サティーンが真反対にひっくり返してしまったのだ。
先ほどの暗殺未遂も、その戦闘民族にプライドをかけてきた市民たちなのであろう。
「オビワン、エスコートをして。」
「サティーン。今は危険だ。今日は室内で安全にしてくれ。」
「いいえ、外へ。」
「公爵お戻りください。外は大変危険です。」
気を悪くしたサティーンは、オビワンやほかの従者たちの止める声を聞かず立ち上がる。
「サティーン公爵、どうかお戻りを。」
「貴方の顔を見たから気を悪くしたのです。失礼して。」
「マスターアイヴァーン、ここは一度…。」
ぴしゃりと言い放ったサティーンにとプレの耳打ちに引き下がるほかなかった。
また彼女"ら"は、腕を組んで楽しそうに、話ながら歩くのだろう。
11年前、エキドナとオビワンがタトゥーインで11年の時間を埋めるように話したように。
彼女らもまた、時間を埋めるように歩くのだろう。
すこししょんぼりとしたオビワンの顔を見ると、さらに痛ましくなってエキドナは一礼したのち、目を伏せてオビワンと反対の方向へ歩いていった。