第12章 The Clone Wars.6
「どうかしたか?」
「大丈夫。連行できなかったのが悔しくて。」
「仕方がない、彼らはマンダロリアンだ。民族の伝統であるマンダロリアンの戦士文化を放棄した"サティーン"に怒っているのさ。」
彼の口から告げられたくない言葉。公爵さえせめてついていればいいものを、呼び捨てで悪びれもなく呼ぶ彼に拒否反応が強くなった。
「少し疲れたみたい。休んでも?」
「もちろんさ。」
サティーンの腕が絡んでいた腕を出し、オビワンはコムリンクを起動させる。
エキドナはその腕をじっと見ながら、久しぶりのコムリンクをリンクさせた。
「ごめんね。力になれなくて。」
「あのエキドナが怪我ね。」
オビワンはまだ彼女の心の変化に気づかない。だからこそ、彼女を元気づけようとジョークを言う。
「そう、ごめん。」
しかし、彼への拒否する気持ちにショックを受けているエキドナはそんな気持ちの余裕もなく、オビワンのジョークをまともに受け止め、彼に背を向けるとローブをはためかせて一人で城へ戻っていった。
そんな彼女の姿を見送るオビワンは、それでもまだ彼女の心の変化に気づけない。嫉妬という感情を知らないのだ。
どこか何か月ぶりに会った彼女が、少し髪を伸ばしていて、さらに綺麗に可愛くて。
愛おしくてたまらない。
それなのに、彼女からいつも感じられた温かいフォースは感じられず、無慈悲に降る大雨のように冷たい。
勿論、いまさらサティーンに気持ちが傾くはずがない。彼はエキドナが思っている以上にエキドナを愛している。
だからこそ、サティーンから離れ彼女と2人でやっと話せたこの瞬間が、「オビワン!会いたかった。」と小声で言ってくれるはずだったこのタイミングが、予想と大きく違う様子であることにショックを受けた。
遠くなっていく彼女の背中を見つめながら、オビワンはそんなことを考えながら少しだけ眉を下げた。