第12章 The Clone Wars.6
「マスターアイヴァーン。お会い出来て光栄です。お噂は聞いております。」
「そんな。私は端くれですよ。」
「公爵の事、あまりお気になさらず。公爵は数十年前にマスタークワイガンとマスターケノービに滞在任務でお世話になっておりまして、どうやらお互い熱があったようなのです。」
「熱?」
「おっと、ジェダイは恋愛が禁止されているのですよね?言ってよかったのか分かりませんが、お二人は男女の友情を超えた親しさがありました。」
「そうなのですね。」
「今でも、公爵は時々マスターケノービの話をするのです。」
オビワンの口から一度も語られなかった数十年前の事実に、全身の熱が冷めていく。
表情こそ変えないが、心臓が握りしめられるように痛くてエキドナの目頭に涙が集まるのがわかる。
「仕方がありません。公爵のお気に障らないように任務に努めます。」
「私、プレ・ヴィズラと申します。マンダロアの月コンコーディアで総督を務めている者です。」
「そうとは知らず無礼を失礼いたしました。」
エキドナは座ったまま、プレに頭を下げる。プレが慌ててそんなエキドナを直らせたその時だ。
「マスタージェダイ!公爵が!!」
誰が言ったのかもわからないが、その声にエキドナの体は無意識に反応し庭園へ走る。
サティーンとオビワンは思ったより奥まで行っていたようで、少し長めに走ると何やらあった爆発跡と公爵に覆いかぶさるオビワンの姿があった。
「エキドナ!あっちだ!」
サティーンを守ったままオビワンが指差す方向には、装甲服をまとった人間が走って逃げているのが見えた。
どうやら背中についている浮遊装置は、先ほどの爆撃で自爆して壊れているようだ。
「了解。」
あの時のオビワンが、どこか全く知らない人のように思えたことに違和感を感じながら、エキドナは犯人を追いかける。
自慢の特攻する俊足も、訓練のおかげで取り戻せているようで、ブランクをあまり感じないくらいには動けていた。
「待って。」
しかし、頭によぎってくるオビワンの違和感が気になって、追いついても妨害に遭ってしまい逮捕には至れない。
エキドナは大きくジャンプして犯人の目の前に降り立つと、体術を駆使しようと足をかける。